なぜ防寒具とクルマの「マフラー」は同じ発音? 用途異なるも「包む」は共通 歴史的背景に見る語源とは
クルマの「マフラー」と防寒具としての「マフラー」は、同じ発音を持つ言葉ですが、語源も同じなのでしょうか。そのルーツをたどってみました。
防寒具の「マフラー」とクルマの部品となる「マフラー」は同じ発音を持つ言葉です。
では、語源やルーツも同じなのでしょうか。
首元を温めてくれるマフラーは、寒さの厳しい季節に必要不可欠なものであることはもちろん、冬のコーディネートのアクセントとしても重要な存在です。
一方、クルマにある程度知見がある人であれ
「マフラー」と聞いてまず最初に思い浮かべるのは、排気管もしくはその周辺部品のことかもしれません。
どちらも同じ「マフラー」ですが、そのルーツも同じなのでしょうか。
クルマにおけるマフラーは、排気システム全体を指す場合や、外から見ることのできる部分だけを指す場合もあります。
厳密にはエンジンから出る排気音の低減を担う「消音器」の部分を指します。
実際、イギリスではマフラーを「静かにするもの」を意味する「サイレンサー(Silenncer)」と呼び、日本でもバイクなどでは「サイレンサー」を用いることが少なくありません。
一方、アメリカやオーストラリアでは、マフラーは日本と同様に「マフラー(Muffler)」と表現されます。
英語における「Muffler」は「Muffule」に接尾辞の「-er」を加えたものですが、この「Muffle」という単語を辞書で調べると「(音などを小さくするために)何かを包む」という意味があることがわかります。
ただ、この説明は、クルマのマフラーにおける用法が定着したことをうけてのものと見られます。
英語の文献をひもとくと、「Muffule」という単語自体は、1400年代初頭には、「何かを包んで保護すること」という意味で用いられていることが確認されています。
1500年代半ばになると、「首元を包むもの」という意味で「Muffule」が用いられるようになります。
ただ、当時は防寒具というよりも、女性が顔の下部を隠すためのものであったようです。
防寒具としてのマフラーが定着しはじめたのは、1700年代後半とされています。
当時のフランスでは、ドレスのための防寒具と装飾品として、カシミアや毛皮のマフラーが用いられていたようです。
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