なぜ防寒具とクルマの「マフラー」は同じ発音? 用途異なるも「包む」は共通 歴史的背景に見る語源とは

なぜマフラーは「消音する」という意味を持ったのか?

 一方、「Muffle」が「消音するもの」という意味で用いられたのは、1700年代前半の頃とされています。

 当然のことながら、クルマに関するものではなく、それは手漕ぎの舟に関連するものだったようです。

 手漕ぎの舟では、オールの支点となる「オールロック」が重要な役割を果たしますが、大きな負荷の掛かる部分でもあるため、漕ぐたびに大きな音を発します。

 その音を防ぐために、「オールロック」およびその周辺を布などで覆うことを、「Muffle」と表現したようです。

 つまり、もともとは「何かを包んで保護するもの」という意味であった「Muffle」が、1700年代に「(女性の)首元を包み温めるもの」ものと「(オールロックを)覆って消音するもの」という2つの意味へと派生していったと考えられます。

最近のクルマでは後方からマフラーが見えづらくなっている?(画像は新型プリウス)
最近のクルマでは後方からマフラーが見えづらくなっている?(画像は新型プリウス)

 もともとは「包んだり覆ったりする」という同じ行為を指し示す言葉だったのが、現代では「防寒」と「消音」という、行為の結果による機能を指し示す言葉へと変遷していったのは、言語学的観点から見ても興味深い事例といえそうです。

 その後、1850年代には機械工学における「消音器」という意味で「Muffle」が使用されたことが確認されています。

 それがクルマに対して用いられるようになったのは、世界最初のクルマのひとつとされるメルセデス・ベンツ「パテント・モトール・ヴァーゲン」が登場してからおよそ10年の月日が経過した、1895年頃のようです。

※ ※ ※

 ちなみに、「Muffle」という単語をさらにさかのぼると、フランス語の「Moufle」に行き着くようです。

「Moufle」は現代語としても残っており、厚手の手袋という意味での「ミトン」を指します。

 つまり、防寒具としてのマフラーとクルマのマフラー、そしてミトンは、共通の祖先から派生した言葉ということができます。

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