ガソリンにもある「夏物」「冬物」どう違う? 季節外れの燃料で走っても問題ない?
ガソリンには、夏用と冬用が存在しますが、違いは何なのでしょうか。また、季節外れのガソリンで走って問題ないのでしょうか。
規格で蒸気圧の上限値が決まっている
クルマに給油する際、ガソリンの値段を気にする人は多いでしょう。一方で「ガソリン自体」について気にする人は、あまりいないのではないでしょうか。
実は、同じガソリンでも夏と冬で違いがあるのです。
ガソリンの夏用と冬用の違いは「蒸気圧」です。
蒸気圧とは、ガソリンの揮発性を示す指標であり、蒸気圧の値が大きいほどガソリンは蒸発しやすくなります。
この蒸気圧の規定値が、夏用と冬用でそれぞれ次のように規定されています。
・夏:上限値65kPa
・冬:上限値93kPa
これは日本産業規格(JIS)で定められた数値であり、製油会社はこの規格に沿ってガソリンを生産しています。
夏と冬でガソリンの蒸気圧を変える理由は、気温の違いにあります。ガソリンが蒸発を始める温度はマイナス40度ですが、日本でマイナス40度を下回ることはほぼありません。
とはいえ、気温の変化によってガソリンの揮発性が変わるのは事実です。そのため、夏と冬どちらもエンジンが問題なく動くように、夏と冬で蒸気圧の違うガソリンを販売しています。
例えば、蒸気圧の高い冬用ガソリンを夏に使用すると、ベーパーロック現象が発生する可能性があります。
ベーパーロック現象とは、液体燃料が気化しすぎたことで燃料パイプに気泡がたまり、パイプ内の流れを妨げる現象です。ベーパーロック現象が発生すると、ガソリンの供給が妨げられてアイドリング不調や加速不良を引き起こす可能性があります。
そのほかにも、大気中へ排出される揮発性ガスが増加するなどの問題があります。
また、蒸気圧の低い夏用ガソリンを冬に使用すると、ガソリンが蒸発しにくく始動性が悪くなってしまう可能性があるでしょう。
夏用と冬用のガソリンは、いつ頃切り替わるのだろうと疑問に思う人もいるのではないでしょうか。実は、そのタイミングは明確に決まっているわけではありません。地域やガソリンスタンドによって切り替えのタイミングは異なります。
多くのガソリンスタンドでは、一般的に次のタイミングでそれぞれ切り替わることが多いようです。
・夏用→冬用:10月頃
・冬用→夏用:5月頃
では、クルマを使う頻度が少ないなどで、夏用を冬に、冬用を夏になど、違う季節のガソリンを使用しても大丈夫なのでしょうか。
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