見た目の中身が全然違う!? オシャレ「軽バン車中泊」実車展示! 内装は無垢材使った斬新デザイン! 特徴はいかに
地域で余っている間伐材や倒木を利用するというテーマで内装に無垢材が使われた軽バンの車中泊仕様とはどのようなものなのでしょうか。
アゲトラ用サスのパイオニアがガチで造った車中泊軽バン
無垢の部材が使用された内装で車中泊が出来る軽バンが東京オートサロン2023に展示されました。
どこか温かみのある軽バンはどのような経緯で制作されたのでしょうか。
軽カスタムの世界では、「アゲトラ」「アゲバン」がトレンドとなっています。
商用車然とした軽トラックや軽バンでも、サスペンションをリフトアップしただけで、“遊び”という雰囲気を纏うから不思議です。
かつてはブロックやスペーサーでリフトアップするのがアゲトラ&アゲバンでは定番でしたが、リフトアップ用のコイルスプリングというエポックメイキングな方法を開発したのが、千葉県にある「フォレストオートファクトリー」。
同社が2009年に発売した「FAFリフトアップスプリング」は、カスタム業界を一変させました。
ブロックなどで上げる方法は基本的にノーマルスプリングを使うため、最低地上高は上がっても路面追従性の向上は望めません。また乗り心地も場合によっては硬くなってしまうことがありました。
コイルスプリングの自由長の変更でリフトアップする方法は、それまでのオフロード4WDで行っていたもの。
それを軽トラ&軽バンに持ち込んだことは、当時としては画期的だったのです。
このリフトアップサスの特徴は、ノーマルダンパーのままで悪路走破性と乗り心地が変えられるということ。
4万円弱というプライスもあって、発売直後から爆発的なヒットとなり、同社が成長するファクターとなりました。
そんなフォレストオートファクトリーが次に手がけたのが、旧車カスタムの「FAFビーチカーシリーズ」。
2022年の東京オートサロンに、スバル「360」をベースにした「FAFビーチバン」、ホンダ「バモス」ベースの「FAFビーチクルーザー」、そしてダイハツ「フェローバギー」ベースの「FAFビーチバギー」の3台を出展。FAFビーチバンはKカー/コンパクトカー部門で最優秀賞を受賞しています。
しかし、FAFビーチカーシリーズはあまりにマニアックな車種をベースにしてしまったことから、ビジネス化することが難しいという現実も。
そこで、もっと売れるカスタムカーをということで、改めて東京オートサロン2023に出したのが3台の「FAFエブラーシリーズ」です。
なかでも、「FAFエブラー・ワンダーベース」は、車中泊仕様の軽バンの世界に新風を吹き込む力作。
外装はスズキ「エブリイ」と「ハスラー」を融合したマスクが特徴で、さらに2022年に好評だったFAFビーチバンのカラーリングが施されています。
ここまででしたら、結構ありそうなカスタムカー。
FAFエブラー・ワンダーベースの内装は、ホンモノの木材を使っているのです。
この手法はFAFビーチバンで培ったもので、地域で余っている間伐材や倒木を利用するというテーマがあります。
それを、埼玉県の家具職人「高村クラフト工房」の高村徹氏に依頼し、1台1台の手作りで内装に仕立て上げています。
バンライフブームもあって、キャンピングカーの世界ではウッド材は珍しくありませんが、このような無垢の部材を使ったインテリアは非常に独創的。組み木などの技術を使い、木目の風合いが柔らかくパッセンジャーを包みます。
また、「コノサウンド」という電気を使わないスピーカーを備えているのも、同モデルの特徴。
ウッドで作られているコノサウンドは、狭い空洞から広い空洞に音を共鳴させて音量を大きくするバックロードホーンの構造をスピーカーシステムです。
実際に試聴してみると、スマホの音ながら柔らかみがあって、低音が太くなったいい音に。
このように木を使ったインテリアのコンセプトについて、同社代表の戸森彰信さんは次のように語ります。
「弊社は2019年に起きた台風15号の被害に見舞われたんです。
そのとき、森林保全や地域材の活用の大切さを知りました。
ちょうどその頃、同じような想いを抱いていた高村さんと出会い、カスタムの世界に地域材の活用ができないかということで、ビーチクルーザーのインテリアをお願いしたんです。
その匠の技術をそのまま活かしたのが、今回のワンダーベースです」
※ ※ ※
ワンダーベースは単なるコンセプトカーではなく、市販車として考えられたカスムカーです。
ソフトトップルーフはメーカーで廃盤になったために検討中とのことだが、それ以外はすぐに実現可能なものとなっています。
リフトアップサスペンションの販売によって、農業・林業関係者との交流もあるという同社が、カスタムの世界に取り入れた地域材の再利用というメニュー。
同社からはすでに車中泊用マット「FAFパーフェクトマット」が発売されていることから、今後はキャンピングカー市場にも新しい風を吹かせそうな予感です。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
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