ディーゼル車は“ちょい乗り”に不向きって本当? どれだけ走ればいい? 短距離走行のみがNGな理由

ディーゼル車は短距離の走行に向いていないといわれますが、それはなぜなのでしょうか。ガソリン車とは異なるディーゼル車特有の問題があるようです。

ディーゼル車で最低どれだけ走ればいいの?

 環境にやさしいクリーンディーゼルエンジンの登場によって、ディーゼル車への注目が再び高まっています。
 
 一方で、ディーゼル車はいわゆる“ちょい乗り”には向かないともいわれていますが、それはなぜなのでしょうか。

ディーゼル車に適した走り方がある
ディーゼル車に適した走り方がある

 ディーゼル車最大の問題である排気ガス中の有害物質を除去するため、近年販売されているクリーンディーゼル車には、DPF(Diesel Particulate Filter)やDPR(Diesel Particulate Active Reduction System)、DPD(Diesel Particulate Defuser)といった粒子状物質を捉えて排気ガスを浄化する後処理装置が搭載されています。

 しかし、この後処理装置の存在が「ディーゼル車は短距離に向かない」といわれているおもな要因なのです。

 ディーゼル車最大の問題は、カーボンを主としたPM(Particulate Matter)と呼ばれる排ガスに含まれる微粒子状の有害物質です。そこで、DPFやDPR、DPDというフィルター状の触媒を装着することで排気ガスの問題を解決しました。

 これらの排気ガスを後処理装置は、フィルター部分でPMを捕らえて排気ガスのみを通過させます。フィルターで捕らえたPMはどんどん堆積していくため、そのままでは目詰まりを起こし機能を維持することができません。

 そこで、装置内に溜まったPMを燃焼させる「再生」がおこなわれます。この再生には高温の排気ガスと走行距離が必要なため、短距離走行では再生が不十分になってしまうというわけです。

 再生が十分におこなわれない場合は強制的に再生作業が必要です。フェイルセーフ機能として、センサーが一定以上のPMの堆積を検知すると警告灯が点灯するようになっており、警告灯が点灯した際は、手動で再生作業をしなければなりません。

 多くの場合は強制的な再生によって正常な状態に戻りますが、強制的な再生を繰り返すと、燃焼するPMの堆積量が増えて高温化し、装置が破損する恐れもあるので注意が必要です。

 では、短距離走行の目安はどれくらいなのでしょうか。

 クリーンディーゼル車を多くラインナップしているマツダが採用するDPFの場合、10分以下の走行とされています。

 マツダ「CX-5」のマニュアルには以下のように記載されています。

・車速約15km/h以下で走り続けているとき
・10分以下の短時間走行の繰り返しやエンジンが暖機できないような走行を繰り返したとき
・長時間アイドリング状態のとき

 クリーンディーゼル車の走行距離の条件は実はそれほど厳しいものではないのですが、普段のクルマの使い方が、主に近所のコンビニやスーパーにしかいかない場合や、通勤距離が10分以内など本当に短距離しか乗らない場合には注意が必要です。

 ただし、15km/h以下や10分以下の走行を繰り返したからといって、すぐにDPFやエンジンが故障するわけではありません。

普段は短距離走行しかおこなっていなくても、休日にやや長距離のドライブに出かけるなど、DPFの自動再生が働く距離と速度で定期的に走行すれば性能は維持できます。

 DPF再生が発生する間隔は一般的に150kmから300km程度です。ただし、車種や普段の乗り方、中古車の場合は走行距離によっても大きく異なります。

 DPF再生に必要な時間は、エンジンが暖機状態になってから15分から20分程度、走行距離にして10kmから20km程度です。DPF再生が不完全なまま走行終了を繰り返すと、警告灯が点灯し、強制(手動)再生が必要になる可能性もあります。

※ ※ ※

「ディーゼル車は短距離走行に向かない」というのは、正確には間違った情報だといえます。定期的に再生がおこなわれる条件で走行していれば、短距離走行をおこなっても問題はありません。

 正しくは「ディーゼル車は“短距離走行のみ”であれば向かない」ということになり、短距離走行ばかりでは、DPFに不具合が生じる可能性もあるため注意が必要というわけです。

 DPF再生が正常にはたらく条件は、メーカーや車種、乗り方によって異なります。ディーゼル車を購入する際は、普段の乗り方について販売店に相談してみると良いでしょう。

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