エンジンを冷やす「冷却水」水道水で代用できる? 市販の「クーラント液」と何が違う?
クルマのエンジンを冷やすために用いられる「冷却水」は水道水で代用することはできるのでしょうか。
クルマの「冷却水」は水道水で代用可能?
エンジンを冷やすために使われる冷却水ですが、代用として水道水を使用しても問題ないのでしょうか。
また市販で販売されている専用の液体は水道水とどこが違うのでしょうか。
エンジンは燃料を燃やしてクルマを動かしているためとても高温になり、そのまま動かし続けるとオーバーヒートし、エンジンの深刻なダメージや故障してしまう恐れがあります。
このため、内部に冷却水を送り込んでエンジンを冷やし、エンジンから奪った熱で熱くなった冷却水を「ラジエーター」という装置で冷やすというように、冷却水をエンジン内とラジエーターとを循環させています。
通常、この冷却水に使われるのは、LLC(ロングライフクーラント)という専用の液体で、「クーラント液」とも呼ばれています。
液体には赤や緑、スーパーLLCでは青やピンクの色がつけられており、エンジン内で他の液体と間違わないようになっています。
クーラント液には、エンジンを冷やす性能のほかにさまざまな成分が配合されており、主なものでは防錆や防食の効果で、ラジエーターの目詰まりや一連の装置内の腐食などを防いでいます。
耐久性能はおよそ2年から3年程度あり、さらに高い耐久性能を持つものでは7年から10年ほどとなっています。
また、冬場の寒い環境からエンジンの高熱まで激しい温度変化に耐える熱安定性を持っており、マイナス30℃から50℃の低温に耐える性能を持っています。
では、この冷却水について、クーラント液の代用として水道水を使うことはできるのでしょうか。
まず、水道水は熱しやすく冷めやすいという性質があることから、エンジンの熱を奪いやすくラジエーターで冷されやすい、「エンジンを冷やす」という本来の目的に対しては、比較的優れた性能を持った液体であるといえます。
その一方で、クーラント液は氷点下にも耐えうる性能を持っていますが、水道水は0℃を下回ると凍ってしまうため、冬場や特に寒い地域などでは、ラジエーターやエンジン、冷却水が通過するチューブの中などで凍ってしまう恐れがあります。
水は凍ると膨張する性質があるため、これらの装置内で凍結すればクルマに深刻なダメージを与える可能性も考えられます。
また、クーラント液に含まれる防錆剤や防腐・防食剤は、水道水には当然含まれていないため、水道水だけの状態が長期間続いてしまうと、装置内がサビたり腐食してしまったりする可能性もあります。
反対に、水道水にはカルシウムなどミネラル成分が含まれており、これらの成分が石化して目詰まりを起こし、エンジンが正常に冷却できずオーバーヒートしてしまうかもしれません。
クーラント液には原液で使うタイプのものと、水で希釈して使うタイプのものがありますが、希釈する際も水道水ではなく、不純物の混ざっていない工業用精製水を使用することが望ましいとされています。
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これらのことから、応急的に冷却水の代用として水道水を使ってもすぐに問題は起きないと考えられるものの、防錆や防腐など本来の冷却水の持つ効果がないため、長期間の使用では不具合が出てしまう可能性があるでしょう。
あくまで一時的な対応にとどめ、早めに専用の冷却水に入れ替えるほうが良いでしょう。
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