救急車を呼んだら消防車が来た? 火事じゃないのに消防隊が駆け付けるワケとは 背景にある“厳しい”事情
救急出動のうちPA連携は何割?
では実際にどのくらいの割合がPA連携の出動なのでしょうか。
東京消防庁の場合、2021年中の救急件数74万3703件のうち、PA連携はおよそ2割弱の13万4144件でした。
ちなみに消防隊にも救急技術の資格を持った隊員が配置されているため、基本的な救護処置は、消防隊でも可能です。
救急要請がありPA連携で出動した場合、基本的には消防隊だけでなく救急隊も現場に向かいますが、東京消防庁によると、消防隊が先着した時点で傷病の事実がなかったり、本人が搬送を頑なに辞退したりする場合は、救急隊を途上で引き揚げさせることもあるといいます。
このように忙しい救急隊の負担を軽減し、現場到着時間を少しでも短縮する取り組みのPA連携ですが、12月に入り状況は再び逼迫(ひっぱく)してきています。
厚生労働省の専門家会議(新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード、第112回、12月28日開催)の資料では、次のように指摘されています。
「救急医療について、冬場は通常でも医療提供体制に負荷がかかるところ、全国的に救急搬送困難事案数は増加しており、今夏の感染拡大のピークを超えている。年末年始の救急医療提供体制の確保には注意が必要」
これを裏付けるかのように東京消防庁は2022年12月26日、公式ツイッターで「救急車の出動率が95%を超えているため、現在非常編成した救急車31台を含む310台で運用していますが、通報を受けてから救急車の到着までに時間を要する場合があります」とツイート。
ウェブサイトでは「コロナ禍で大変な今こそ救急車の適正利用にご協力を」と呼び掛けています。
こうした状況は、東京に限らず、横浜消防局や大阪市消防局などでも同様であり、各地で「救急逼迫」が起きています。
東京消防庁管内では、2021年度に救急搬送された人の51.4%は、軽易で入院を要しない軽症でした。
救急車を呼ぶか迷ったら、救急安心センター(♯7119、一部地域で実施)に電話したり、全国版救急受診アプリ「Q助」を活用したりしましょう。
本当に病院に行く必要のある人のもとに救急車が一刻も早く到着できるよう、一人ひとりの普段からの感染予防と理解・協力が必要とされています。
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