クルマの「据え切り」由来は? 停止状態で「ハンドルを切る」コトを指す造語が誕生した背景とは
クルマに関連した言葉にはさまざまな造語が存在します。そのなかで、クルマを停止させた状態でハンドルを回すことを「据え切り」といいますが、なぜこの状態を「据え切り」というようになったのでしょうか。
なぜクルマの停止状態で「ハンドルを切る」コトを「据え切り」というのか?
クルマを停止させた状態でハンドルを回すことを「据え切り」といいます。
ドライバーにとっては聞き慣れた言葉のひとつですが、そもそもこの状態をなぜ「据え切り」というようになったのでしょうか。
教習所で駐車について教える際、まず一定の位置までクルマを進めた後、停車した状態でハンドルを回し、それからバックして駐車を完了させるという指導がおこなわれることがほとんどです。
この「停車した状態でハンドルを回す」ことを「据え切り」といいます。
多くのドライバーにとってはよく聞き慣れた言葉のひとつですが、逆にいえばクルマの運転以外でこの言葉が用いられることはほぼないといえます。
実際、インターネットで「据え切り」と検索すると、「停車した状態でハンドルを回す」という意味以外の用法を見つけることはほとんどできません。
「据え切り」という言葉は、「据える」という語と「切る」という語が合わさった複合語であると考えることができます。
「据える」は非常に古い言葉であり、平安時代の900年前後に成立した歌物語である『伊勢物語』にも見ることができます。
当時の意味も現代における「据える」とほぼ同様であり、「(人や物などを)置く、設置する、備える」といった意味で用いられていることがわかります。
また、現代では「腰を据える」という慣用句もあるように、「動きやすいものを動かないように置く」という意味合いも強く、本来であれば自由に動くことのできるものをとどめて置くという意味で用いられることが多いようです。
クルマを停車させた状態は、それまで移動していたクルマをしっかりと留め置いた状態ととらえることもできるため、そのようすを「据える」と表現するのは極めて自然なことといえそうです。
ちなみに、現在クルマに対して用いられている「停める」や「駐める」は、「据える」よりも後に登場した語と見られており、大正期以降に浸透したようです。
つまり、「動きやすいものを動かないように置く」という意味においては、ある時点までは「停める」や「駐める」よりも「据える」のほうが優勢だったと考えられます。
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