新車1か月の「オイル交換」なぜ不要?「メンテナンスパック」では交換するのに… ホントにしなくて大丈夫?

かつては当然のようにおこなわれていた新車1か月点検でのオイル交換ですが、近年は、交換不要とすることが多いようです。なぜ、交換する必要がなくなったのでしょうか。

1か月点検時にオイル交換をしなくなったワケ

 かつて、新車購入後の1か月点検で「オイル交換」をしていましたが、最近は、メーカーもディーラーも1か月点検でのオイル交換を不要としているところが多いようです。

 正確な時期は不明ながら、10年以上前から新車1か月点検でのオイル交換を推奨しなくなっているようで、一般的にいわれているのが「加工精度の向上」により、部品の組み合わせに支障がないため、1か月点検でのオイル交換が必要ないということです。

 また廃オイルの処理にまつわる環境への配慮、交換費用なども考慮され、メーカーやディーラーでは「5000kmまたは半年」での交換を推奨するようになったとされています。

新車1か月点検時の「オイル交換」やらなくなったのはなぜ?
新車1か月点検時の「オイル交換」やらなくなったのはなぜ?

 一方で、ディーラーで加入できる「メンテナンスパック」(メーカーによって呼び名はそれぞれ)では、定期的な「整備点検」や「半年ごとのオイル交換」「「1年ごとのオイルフィルター交換」といったものがパッケージ化されたサービスが普及しています。

 このサービスに加入していると1か月点検でのオイル交換が含まれていることが多いのですが、未加入者に関しては、ユーザーが自費で希望しない限り、1か月点検でのオイル交換はお勧めしていないのだそうです。

 ここで不思議なのが、1か月点検でのオイル交換は推奨していないのに、メンテナンスパック加入者には交換してくれるということです。そもそも必要ないのであれば交換しないはずなのに一体どういうことなのでしょうか。

 そのカラクリと実態を、都内の整備工場を経営するG整備士に聞いてみました。

「部品の加工精度自体は昔も今も大きく変わっておらず、最近の新車でも、もちろん作動初期に各パーツが馴染むまで金属片(スラッジ)は出るのですが、構造が新しくなってパーツが新設計されることで、不具合は出にくくなっていると思われます。

 1か月点検時のオイル交換については、単純にメーカーからの推奨で、オイル交換の時期を伸ばしても大丈夫という話になっているだけです」

 実際にメンテナンスを手掛けるG整備士の見解では、1か月点検または1000km程度のならし運転で、エンジンオイルとフィルターは交換したほうが良いのだそうです。

 またミッションオイル(ATやCVT)も初期のならし運転後には交換しておいたほうが、トラブル予防に繋がるだろうとのことです。

「あくまでメーカー推奨は目安であって、故障しない保証をするものではないんです。毎回1000kmでオイル交換する必要はありませんが、搭載されているエンジンの種類や構造などを踏まえて、推奨期間より早めに交換していただくほうがエンジントラブルの発生リスクを軽減できると思います」(G整備士)

 1か月点検でオイル交換をおすすめしないのは、ディーラーとして「廃オイルをできるだけ減らし、環境に配慮している」という側面があるのではないかといいます。

 早めのオイル交換で故障のリスクを減らしたいという一方で、環境への配慮や維持費の軽減という目的のため、1か月点検時にオイル交換は必要なしというディーラー側の見解も納得できます。

「クルマにとってのエンジンオイルは、人にたとえると血液のようなものです。ドロドロの血では人間でも動脈硬化など病気の原因にもあるわけですから、クルマもできる限りキレイな状態のオイルがエンジン内を回るほうが故障のリスクを軽減できます。

 とくに新車の場合は、金属パーツ同士の組み合わせがしっくりくるまでに細かい金属片がどうしても出てしまうものです。

 接触部分の摩耗を軽減しスムーズに動くためにオイルがあるわけですから、加工精度の問題ではなく、金属の集合体である以上、避けては通れない宿命だと思います」(G整備士)

 メーカー推奨サイクルより早めの交換はパーツの摩耗を軽減してくれますし、さらにオイルに混入させる添加剤なども、摩耗の軽減に対して一定の効果が期待できるそうです。

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