脱字? いえいえ“あえて”です 埼玉の「危い」道路標示が2文字の理由は?

埼玉県内の道路に多く見られる「危い」という標示。「な」が抜けてて「あぶい」と読んでしまいそうですが、「危い」標示はどのような意図があるのでしょうか。

「あぶい」と読んでしまいそうだけど…

 道路に書かれている「危い」の文字。「あぶない」は、漢字で書くと「危ない」と書くことが多く、道路の「危い」だと「あぶい」と読めそうにも思いますが、どういうことなのでしょうか。

埼玉県さいたま市大宮区の「危い」道路標示((C) Google)
埼玉県さいたま市大宮区の「危い」道路標示((C) Google)

「危い」の路面標示は、主に埼玉県で見られるといいます。Twitterユーザーのみや@miyabajaさんが作成している「埼玉危いマップ」によると、現在、県内400か所以上に「危い」の標示があるそうです。

 赤地に白字、横書きで「危い」と書かれたものが最もポピュラーですが、白字だけのものや縦書きタイプなど、いくつかの「危い」バリエーションも存在。

 一方で加須市などには、「危ない」と「な」ありタイプも確認されています。

 そもそも送り仮名は、公的機関によって「正しい・誤り」と表記が決められているものではありませんが、一方で1973年内閣告示の「送り仮名の付け方」(2010年一部改正)が「よりどころを示すもの」(文化庁)として行政機関や出版社などで広く採用されています。

 これによると本則は「活用のある語は、活用語尾を送る」とされており、「あぶない」だと「危い」と書くことになりますが、これだと「あやうい」とも読めてしまうため、「送り仮名の付け方」では例外として「危ない」という表記を示しています。

 このような“送り仮名事情”が背景にあり、普段、私たちが新聞や書籍などで目にするのは「危ない」という表記が圧倒的に多いため、「な」のない「危い」は違和感を覚えるかもしれません。

 埼玉独自ともいえる「危い」標示は、どのような意図で書かれたのでしょうか。

 埼玉県によると「県で管轄しているのは県道のみで、県では道路に標示できる言葉は決められているため、『危ない』という言葉を使用することはありません。おそらく警察か市町村の管轄かと思われます」とのこと。

 そこで「危い」標示が多い見沼区(さいたま市)に問い合わせたところ、担当者は次のように説明します。

「各地域では、道路交通法に抵触しなければ道路に文字などを書くことが可能です。そのため『危い』の道路標示は見沼区でも標示しています。住民から注意喚起標示を依頼された場所が主となっています。

 また、送り仮名が足りない点も脱字ではなく、道路標示などは文字数が少ない方が分かりやすいので、スペースの問題などもあり『危い』の2文字としています」

 ちなみに、標示する場所や文字などは市町村ごとに決めているそうで、埼玉県内の多くの市町村で共通して「危い」の2文字が使用されている理由は、担当者が数年ごとに変わるので分からないとのことでした。

※ ※ ※

 道路の標示や標識では、「危い」のほかにも「速度落せ」「登坂車線終り」など、「送り仮名の付け方」によらない送り仮名を採用しているケースがあります(「付け方」に従うと「落とせ」「終わり」)。

 これらも脱字ではなく、最小限の文字数でドライバーに意味を伝えるためといわれています。

【画像】埼玉限定!「1文字」も存在! いろいろな「危い」とそのバリエーション標示を見る(20枚)

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