ATシフト「Nレンジ」いつ使うのが「正解」!? オートマの「ニュートラル」必要な理由とは
万が一の際にも!? 意外と知られていない「N」レンジの重要な役割とは
またNレンジには、もうひとつ重要な役割を果たしています。
クルマが故障し、自力走行できなくなったときには、レッカー車やほかの車両に牽引してもらいますが、Nレンジはその際に使用することができるのです。
![下り坂の多い山道などでは、低いギアを選択してエンジンブレーキを併用しながら安全な走行に努めましょう。間違えても「N」レンジに入れたりはしないでください![画像はイメージです]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2022/10/20221014_WindingRoad_001.jpg?v=1665745965)
クルマを前にも後ろにも進ませないのが、PレンジとNレンジだと先に説明しました。
まったく同じ機能のようですが、ふたつのシフトレンジの違いは、タイヤがロックされているかどうかにあります。
Pレンジはタイヤを駆動させる力がロックされた状態なので、クルマは押しても引いても動きません。
対してNレンジは、動力とギアを切り離すことでクルマが動くことを止めているため、車軸自体のロックはされておらず、タイヤは動きます。そのため、人の手で押してもクルマを動かすことが可能となります。
前進のためのDレンジに入れてあったとしても、タイヤの回転には抵抗がかかりますが、どのギアともかみ合っていないNレンジに入れておくことで、クルマをスムーズに動かすことができるのです。
万が一クルマが故障してしまい、やむを得ず人力で押す場合などには、シフトはNレンジに切替えることを覚えておきましょう。
なお、信号待ちなどの停止時にシフトレバーをNレンジにしておくと、燃費が良くなるという噂を聞くことがありますが、実際にはほとんど変化はありません。
Nレンジ(ニュートラル)はエンジンからの動力をタイヤに伝えないだけで、エンジン自体を停止させるわけではありません。そのため、燃料の消費とは関係がないのです。
最近はアイドリングストップ機能のある車両が増えてきています。その多くがDレンジの際に機能するので、燃費や環境保護の意味でも、無駄にNレンジへシフトするのは意味がありません。
またNレンジとDレンジの頻繁な切り替えが増えることでギアを痛めてしまい、車の耐久性にも問題が生じる可能性もあります。
さらにNレンジの状態ではタイヤがロックされていないため、気づかない程度の傾斜により、クルマが思わぬ動きをすることも想定されます。
ましてや、下り坂を走行中にシフトをNレンジに入れるのは、エンジンブレーキによる抵抗もない空走状態となり非常に危険ですので、絶対にやめましょう。
走行中にDレンジや、より低いギアを使用しながらアクセルペダルを足から離すと、エンジン内の燃料噴射が停止し、燃料を無駄に消費させない仕組みとなっています。
例えばトヨタの公式サイトには「(ハイブリッド車で)シフトレバーをNレンジにして走行・停車すると、燃費が良くなりますか」との質問に対し、次のような回答が記されています。
「走行中(減速時や渋滞中も含む)のシフトポジションはDレンジやBレンジ、駐車中のシフトポジションは必ずPレンジにしていただくようお願いいたします」
加えてハイブリッド車の場合、Nレンジでは駆動用バッテリーへの充電もおこなわれないため、Nレンジでの停車は推奨しないともいいます。
安全に効率の良い運転をするためにも、各車両の取扱説明書も確認しながら、適切なギア選択をすることが重要といえるでしょう。





















