ATシフト「Nレンジ」いつ使うのが「正解」!? オートマの「ニュートラル」必要な理由とは

万が一の際にも!? 意外と知られていない「N」レンジの重要な役割とは

 またNレンジには、もうひとつ重要な役割を果たしています。

 クルマが故障し、自力走行できなくなったときには、レッカー車やほかの車両に牽引してもらいますが、Nレンジはその際に使用することができるのです。

下り坂の多い山道などでは、低いギアを選択してエンジンブレーキを併用しながら安全な走行に努めましょう。間違えても「N」レンジに入れたりはしないでください![画像はイメージです]
下り坂の多い山道などでは、低いギアを選択してエンジンブレーキを併用しながら安全な走行に努めましょう。間違えても「N」レンジに入れたりはしないでください![画像はイメージです]

 クルマを前にも後ろにも進ませないのが、PレンジとNレンジだと先に説明しました。

 まったく同じ機能のようですが、ふたつのシフトレンジの違いは、タイヤがロックされているかどうかにあります。

 Pレンジはタイヤを駆動させる力がロックされた状態なので、クルマは押しても引いても動きません。

 対してNレンジは、動力とギアを切り離すことでクルマが動くことを止めているため、車軸自体のロックはされておらず、タイヤは動きます。そのため、人の手で押してもクルマを動かすことが可能となります。

 前進のためのDレンジに入れてあったとしても、タイヤの回転には抵抗がかかりますが、どのギアともかみ合っていないNレンジに入れておくことで、クルマをスムーズに動かすことができるのです。

 万が一クルマが故障してしまい、やむを得ず人力で押す場合などには、シフトはNレンジに切替えることを覚えておきましょう。

 なお、信号待ちなどの停止時にシフトレバーをNレンジにしておくと、燃費が良くなるという噂を聞くことがありますが、実際にはほとんど変化はありません。

 Nレンジ(ニュートラル)はエンジンからの動力をタイヤに伝えないだけで、エンジン自体を停止させるわけではありません。そのため、燃料の消費とは関係がないのです。

 最近はアイドリングストップ機能のある車両が増えてきています。その多くがDレンジの際に機能するので、燃費や環境保護の意味でも、無駄にNレンジへシフトするのは意味がありません。

 またNレンジとDレンジの頻繁な切り替えが増えることでギアを痛めてしまい、車の耐久性にも問題が生じる可能性もあります。

 さらにNレンジの状態ではタイヤがロックされていないため、気づかない程度の傾斜により、クルマが思わぬ動きをすることも想定されます。

 ましてや、下り坂を走行中にシフトをNレンジに入れるのは、エンジンブレーキによる抵抗もない空走状態となり非常に危険ですので、絶対にやめましょう。

 走行中にDレンジや、より低いギアを使用しながらアクセルペダルを足から離すと、エンジン内の燃料噴射が停止し、燃料を無駄に消費させない仕組みとなっています。

 例えばトヨタの公式サイトには「(ハイブリッド車で)シフトレバーをNレンジにして走行・停車すると、燃費が良くなりますか」との質問に対し、次のような回答が記されています。

「走行中(減速時や渋滞中も含む)のシフトポジションはDレンジやBレンジ、駐車中のシフトポジションは必ずPレンジにしていただくようお願いいたします」

 加えてハイブリッド車の場合、Nレンジでは駆動用バッテリーへの充電もおこなわれないため、Nレンジでの停車は推奨しないともいいます。

 安全に効率の良い運転をするためにも、各車両の取扱説明書も確認しながら、適切なギア選択をすることが重要といえるでしょう。

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8件のコメント

  1. エンジン掛けたまま車で寝る時はPだけとN+パーキングブレーキのどっちですか?

    • エンジン掛けたまま寝るなら、P+パーキングブレーキが普通なのでは? パーキングブレーキが凍りつくような極寒の場合、平地であればPだけとか。大雪で立ち往生中のエンジン掛けたまま睡眠は、そのまま天国へ行ってしまう恐れがあるのでご注意を。

  2. タクシー乗ると運転手と車によって独特なシフト操作をする
    驚いたのは 首都高でBに入れたままアクセル全開で最後まで走られたとき
    なるほどと思ったのは 頻繁にNに入れるので観察すると 警告灯がついたときにNに入れてた 修理出す時間が無かったからだと思われる

  3. Dのまま停止するってことは、1速のクラッチは繋がった状態で、トルコンを空回りさせて停止してるってことですよね?
    そんな負担掛けたくなくて、信号待ちなんかでもついNに入れてしまうんですよね、A/C入れてる時は特に。

  4. ガチャガチャって言うシフトレバーでなくなった今はNに入れる事はほとんど無くなったな

  5. MTでは加速してクラッチ切って惰性で転がす「コースティング」を多用したが、ATではいちいちNに入れないとこれが出来ない。不便。あまりやらなくなった。HVで回生でアクセルオフ時のトルコンの引きずりを再現するのは、やり過ぎだろう。ついNに入れたくなる。電動偽クリープといい、どうしてそこまでトルコンを愛するのか。新しいメカに適応した人の革新は遠いのか。

    •  MT乗りがやりがちなNでのコースティングはATにとって良くない操作。

       ATのオイルポンプはエンジン側に付いていて、D等でギアが繋がってればそれなりの回転数にちゃんと上がる。
       しかし、Nでコースティングするとアイドル時の吐出量しかないのに、出力側はガンガン回るから絶対的な油量が足りなくなって部分的に潤滑不足やATFの過熱が起きる。

       牽引可能距離や速度がMTと比べ低いのも、このエンジン側にオイルポンプが付いてる構造が理由。

  6. >最近はアイドリングストップ機能のある車両が増えてきています。

    いやいや、情報古いですよ!
    最近はアイドリングストップ機能は減ってきています。

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