「あおり運転」なぜ土日に発生しやすい? 小さいクルマが狙われる!? 加害者・被害者の傾向とは

危険な「あおり運転」は罰則が強化されたものの、被害が後を絶ちません。被害者や加害者にはある傾向があるようですが、一体どのようなものなのでしょうか。

あおり運転は土日に発生しがち

「あおり運転」とは、前を走るクルマとの車間距離を詰めたり、妨害をおこなったりするほか、蛇行運転や急ブレーキを踏むなど後続車へ迷惑行為をおこなう危険な運転のことで、社会問題となっています。

あおり運転は土日に発生することが多い
あおり運転は土日に発生することが多い

 2020年6月30日に施行された改正道路交通法では、妨害運転としてあおり運転行為に厳しい罰則が科されるようになりました。

 しかし、いまもあおり運転による被害が全国で報告されていますが、あおり運転が発生しやすい時間や加害者の特徴には傾向があるようです。

 警察庁は、全国の警察が2018年から2019年の2年間に摘発した133件(危険運転致死傷罪の適用59事件と刑法を適用した74事件)をもとに、「あおり運転に関する事例調査」を実施。

 それによると、あおり運転が発生する曜日は「土曜日」がもっとも多く、次に多い「日曜日」と合わせての約39%を占めていることが明らかになりました。

 時間帯は、深夜から早朝にかけての「午前0時から6時まで」であおり運転が発生するのは約12%と少なく、そのほかの時間帯での差はほとんど見られません。

 土日(週末)は出掛ける人が多くて道路が混雑しやすいうえに、なかには運転に不慣れなドライバーもいることからあおり運転が発生しやすいといえます。一方で、交通量が少ない平日や深夜といった時間帯のあおり運転は少ないようです。

 また、高速道路よりも一般道路であおり運転が発生することが圧倒的に多く、複数車線の道路で起きやすいという傾向もあるとされています。

 あおり運転の発生状況では、加害者が妨害行為を始めるきっかけとして、「何らかの行為をされたと認識した」ことによるものが122件(約92%)。

 そのなかでも「進行を邪魔された(進路を譲らない、前走車が急ブレーキをかけたなど)」が47件(約36%)、「割り込まれた、追い抜かれた」が29(約22%)など、被害者の運転がきっかけとなってあおり運転行為をしたと回答しています。

「やられたからやり返す」という加害者の心理が、あおり運転に発展しているという訳です。

 では、加害者の性別や年齢、運転状況はどうだったのでしょうか。

 加害者の性別は、男性が128件、女性が5件でほとんどが男性。なお、被害者も男性のほうが圧倒的に多いという状況です。

 また、加害者が単独乗車だったのは104件で、1人で運転しているときにあおり運転をする人が多くなっています。

 加害者の年齢は40代が多い傾向にありますが、運転免許保有割合でみると、10代、20代が加害者・被害者ともに多いこともわかりました。

 若い世代で危険な運転をする傾向が強く、さらに単独運転では危険な運転を止めに入る同乗者がおらず、些細なことでもカッとしてあおり運転に発展するという心理状況がうかがえます。

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