ゴツSUVの新型「タント」が“打倒スズキ”の切り札になる!? 軽ナンバー1を死守したいダイハツの戦略とは

ダイハツの軽スーパーハイトワゴン「タント」に、SUV風の新型「タントファンクロス」が追加されました。一体どのような狙いがあるのでしょうか。

「ウェイク」ユーザーの受け皿となる新型「タントファンクロス」

 ダイハツ「タント」が2022年10月に大幅な改良を実施しました。その1か月後となる11月上旬の受注台数は約5万台に達したと発表されています。

 従来型のタントは、改良に先立って7月には受注を停止した後、8月からは新型モデルの注文を受けています。つまり新型モデルの実質的な受注期間は8月から11月までの3か月で、1か月間で5万台の受注を獲得したわけではありませんが、売れ行きは堅調といえるでしょう。

ゴッツイSUV風の新型「タントファンクロス」
ゴッツイSUV風の新型「タントファンクロス」

 タントの改良でもっとも注目される点は、新型「タントファンクロス」の追加です。新型タントファンクロスはSUV風のグレードで、外観を見ると、ボディをガードするような雰囲気の樹脂パーツが前後左右に装着されています。

 内装では、後席の背面に防水加工を施し、後席の背もたれを前側に倒して荷室を広げ、アウトドアなどで使ったグッズを積んだときでも汚れを簡単に落とせます。

 天井の後端には室内灯が装着され、後席の右側にはUSBソケットも備えられており、後席を格納して荷室として使うときの使い勝手を向上させました。

 これはSUV風の外観と親和性の高い装備だといえるでしょう。

 これらの工夫を施して、新型タントファンクロスの自然吸気エンジン(ノンターボ)車の価格は172万1500円(2WD)です。

 同時に改良を受け、外観をより大胆に進化させたエアログレード「タントカスタム」の自然吸気エンジン車「カスタムX」の価格は178万2000円(2WD)ですから、SUV風の内外装を備えた背の高い軽自動車が欲しい場合、新型タントファンクロスは買い得な選択肢となるでしょう。

 改良を受けたタントの受注台数に占める新型タントファンクロスの割合は25%です。もっとも多い仕様は従来と同じくタントカスタムで55%に達しており、残りの20%が標準ボディです。

 ダイハツはなぜ、タントにファンクロスを追加したのでしょうか。開発者に尋ねると、以下のように説明されました。

「現行型のタントでは内外装を上品なデザインに仕上げました。そのために迫力が足りないという声も聞かれます。

 また以前はレジャーまで多用途に使える軽自動車として『ウェイク』を用意していましたが、今は生産を終えています。ウェイクのユーザーを取り込むことも考えて、タントにファンクロスを加えました」

 一方、タントファンクロスに対するユーザーの反響を販売店に尋ねると、以下のように返答されました。

「お客さまから、タントにはスズキの『スペーシアギア』のようなグレードはないのか、と尋ねられることが多かったです。

 今は『タフト』や『ロッキー』などのSUVが人気で、タントにもSUV風のグレードが欲しかったです。その意味で新型タントファンクロスの追加はお客さまからも喜ばれています。

 先代タントの標準ボディやカスタムのお客さまが、タントファンクロスに乗り替えることもあります」

 新型タントファンクロスは、ユーザー、販売店、メーカーにとって、メリットのある追加モデルなのです。

【画像】新型タントファンクロスがゴツかっこイイ! タントカスタムは“レクサス顔”に大胆イメチェン!?(30枚)

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1件のコメント

  1. 逆に、カスタマイズ前提で何も付いていない。後席の有無も選べるバージョンなんかは面白いかも。その上で要望の多いカスタマイズは標準仕様としてグレードを付して売れば良いのでは?。2人乗りもアリですし、半端に2(3)人というのも面白いです。今はハイゼットカーゴ2シーターのみ2人乗り。他は(4)人からしか選べないですから。
    そもそも、メーカーが売れるであろうと思われる仕様が、必ずしもユーザーが望む仕様であることは難しく、要望を取らないとそえは販売してみないと分からず、逆に満を持して発表したら大ブーイングということも有り得る訳で。
    そういう意味で、最初から安全な範囲での車高上げバージョン。タイヤが少し大きいバージョンなどもあった方が売れると思う。
    メーカーとしては売れて早く飽きられたり壊れる(腐食する)車が回転を上げる上で望まれると思うが、タフさを売りにして居る割に下回りが華奢なものが多いです。
    スズキジムニー、スズキエブリィー、ダイハツハイゼットがなぜ黙っていても売れるのかを考えれば、突き詰める部分がニーズがユーザーにマッチしているからじゃないですか?。
    それは必ずしも外面のみ意識した似非タフではなく、ユーザーの使い方にもっとも望まれる仕様だからと思います。カスタムパーツが売れるのは、最初からそういう仕様だったら良いのにというユーザーの意見の現れかも。

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