ゴツSUVの新型「タント」が“打倒スズキ”の切り札になる!? 軽ナンバー1を死守したいダイハツの戦略とは
タントの販売不振がダイハツ全体に影響!?
新型タントファンクロスが投入された背景には、ダイハツとタントの切実な事情もあります。現行タントが、先代モデルに比べて売れ行きを下げていることです。
先代タント(3代目)は2013年に発売され、翌年の2014年には、軽自動車と小型/普通車を含めた国内販売の総合1位になりました。2014年のタントの届け出台数は、1か月平均で約2万台に達しています。
現行タント(4代目)は2019年に発売。翌年の2020年の届け出台数は、1か月平均が約1万800台でした。
2020年は新型コロナウイルスの影響を受けて売れ行きが下がった時期ですが、2020年の軽自動車全体の販売台数は2014年の76%となった一方。タントは50%ですから、軽自動車市場全体に比べて減り方が大きいです。
タントは販売ランキングの順位も下げました。先代モデルは前述の通り2014年に国内販売の総合1位になりましたが、現行モデルの2020年は、軽自動車に限ってもホンダ「N-BOX」とスペーシアに続く3位です。N-BOXの販売は際立って好調だから仕方ないとしても、スペーシアを抜けなかったのはダイハツにはショックだったでしょう。
そしてタントの販売不振は、ダイハツの軽乗用車全体の売れ行きにも悪影響を与えています。
ここ数年の軽自動車の国内販売1位はほぼ一貫してダイハツが獲得していますが、軽乗用車に限ると状況が変わります。2019年まではダイハツが1位でしたが、2020年、2021年、2022年1月から10月はスズキが1位となっているのです。
つまりタントが現行モデルになって売れ行きが低迷すると、ダイハツの軽乗用車が全体的に低調になったのです。ちなみに、現在のダイハツの軽自動車販売1位は軽商用車が支えています。
その一方でスズキは、軽商用車についても、新型「スペーシアベース」の投入などによって力を入れています。
このままでは軽自動車販売1位をスズキに奪われる心配も生じてきたことから、タントの販売テコ入れは不可欠といえるでしょう。
ダイハツの商品企画担当者にタントの販売不振について尋ねると、以前から「フロントマスクなどの外観に解決すべき課題があると思います」という話が聞かれており、その点も視野に入れてタントにSUV風の新型タントファンクロスの追加に至ったというわけです。
それは冒頭で挙げた開発者の「現行タントでは内外装の迫力が物足りないから、新型タントにファンクロスを加えました」という趣旨の発言とも合致しています。
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新型タントファンクロスは、SUVテイストの流行に沿った追加モデルであると同時に、タントの「迫力が足りない」という欠点を補う役割も担っています。
今後のダイハツの軽乗用車販売を左右する大切な車種です。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
逆に、カスタマイズ前提で何も付いていない。後席の有無も選べるバージョンなんかは面白いかも。その上で要望の多いカスタマイズは標準仕様としてグレードを付して売れば良いのでは?。2人乗りもアリですし、半端に2(3)人というのも面白いです。今はハイゼットカーゴ2シーターのみ2人乗り。他は(4)人からしか選べないですから。
そもそも、メーカーが売れるであろうと思われる仕様が、必ずしもユーザーが望む仕様であることは難しく、要望を取らないとそえは販売してみないと分からず、逆に満を持して発表したら大ブーイングということも有り得る訳で。
そういう意味で、最初から安全な範囲での車高上げバージョン。タイヤが少し大きいバージョンなどもあった方が売れると思う。
メーカーとしては売れて早く飽きられたり壊れる(腐食する)車が回転を上げる上で望まれると思うが、タフさを売りにして居る割に下回りが華奢なものが多いです。
スズキジムニー、スズキエブリィー、ダイハツハイゼットがなぜ黙っていても売れるのかを考えれば、突き詰める部分がニーズがユーザーにマッチしているからじゃないですか?。
それは必ずしも外面のみ意識した似非タフではなく、ユーザーの使い方にもっとも望まれる仕様だからと思います。カスタムパーツが売れるのは、最初からそういう仕様だったら良いのにというユーザーの意見の現れかも。