2090万円のトヨタ「センチュリー」に違法判決なぜ? 山口県「貴賓車購入」で勘違いされる問題点とは

2022年11月、山口地方裁判所は同県の村岡嗣政知事にトヨタ「センチュリー」を「貴賓車」として公費で購入したのは違法だとして、購入費全額の支払いを命じる判決をいい渡しました。各メディアでは「公費でセンチュリーを購入したこと」に問題があったように報じられていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

「公費でセンチュリーを購入したこと」が違法なわけではない。

 山口県がトヨタ「センチュリー」を「貴賓車」として公費で購入したのは違法だとして、山口地方裁判所は2022年11月、村岡嗣政知事に購入費全額の支払いを命じる判決をいい渡しました。
 
 各メディアでは「公費でセンチュリーを購入したこと」に問題があったように報じられていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

貴賓車という言葉が似合うトヨタ「センチュリー」今回の問題はなにが争点だったのか?
貴賓車という言葉が似合うトヨタ「センチュリー」今回の問題はなにが争点だったのか?

 この裁判は、山口県が「貴賓車」としてセンチュリーを公費で購入したのは、村岡嗣政知事による裁量権の逸脱であるとして、元県職員の男性が訴えを起こしたものです。

 歳出削減が求められる昨今、よりリーズナブルな車種を選んだり、リースなどのファイナンスプランを活用したりといった方法もあったなかで、国産最高級車として名高いセンチュリーを購入したのは、知事の裁量を越えた無駄づかいであるという男性側の訴えが全面的に認められたかたちとなります。

 この判決をうけて「センチュリー」「購入」「違法」といった言葉が各メディアの見出しに並びました。

 各メディアの内容を見ても「公費でセンチュリーを購入すること」に問題があったような印象を与える報道も少なくありませんでした。

 しかし、判決の内容をよく見ると「公費でセンチュリーを購入すること」そのものが違法というわけではなく、さまざまな背景があってこのような判決となったことがわかります。

 まず、そもそも山口県では「貴賓車」としてセンチュリーを1台保有しており、問題となっているセンチュリーは2台目として配備されたものです。

 確かに、各都道府県を見てもセンチュリーを常に保有しているのはわずかであり、さらにいえば2090万円での購入契約も全国で2番目に高額であったとして指摘されています。

 ただ、外国の要人や皇族の送迎に用いることが「貴賓車」の主目的であることを考えると、後述するようにセンチュリーはもっとも妥当な選択肢のひとつです。

「貴賓車」を用意すること自体は妥当であり、センチュリーが適した1台であることも疑う余地はありません。

 そのため、すでにセンチュリーが「貴賓車」として1台配備されているにもかかわらず、2台目のセンチュリーを新たに購入する必要性があったのかどうかが争点です。

 調査の結果、問題となった2台目のセンチュリーが外国の要人や皇族の送迎に利用されたのはわずか6日であり、それ以外はほぼ県議会議長によって利用されていたことが明らかになりました。

 たしかに、県議会議長も「貴賓車」の送迎の対象ではありましたが、利用実態を見る限りは2台目の「貴賓車」を購入する合理的な理由はないと判断されたことが、今回の判決につながったとされています。

 つまり、一部のメディアでセンセーショナルに報道されているように「公費でセンチュリーを購入すること」に対する違法判決ではないことには注意が必要です。

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