イメージは低給与&重労働? なぜ「整備士不足」改善されない? 重要ながら軽視される? 業界が抱える人材不足の解決策とは

自動車業界において重要な存在ながら軽視されがちなのが自動車整備士です。昨今では「整備士不足」といわれていますが、実際の整備士はどのような状況なのでしょうか。

自動車整備士が人手不足?自動車整備士の現状や課題は?

 近年、自動車整備士が不足し問題となりつつあります。クルマを安全に走らせるうえで重要な存在ですが、なぜなり手が減っているのでしょうか。
 
 また今後「整備士不足」を打開する方法はあるのでしょうか。

自動車整備士はなぜ人気ない? 「低収入・重労働・休み少ない」といった悪いイメージは払拭できる? 今後の整備士業界はどうなるのか
自動車整備士はなぜ人気ない? 「低収入・重労働・休み少ない」といった悪いイメージは払拭できる? 今後の整備士業界はどうなるのか

 自動車整備士といってもさまざまで、自動車メーカーの正規ディーラー、カー用品店、街の整備工場などで働いています。

 整備士は、その名の通りクルマを整備することが主な業務ですが、そのなかには定められて項目の点検・不具合のある部分の修理および交換などがあり、大掛かりなものでは重労働となる作業も挙げられます。

 また自動車整備士になるためには、大きくタイヤ交換などの軽微な作業ができる3級、ほとんどの作業が可能となる2級・さらに深い知識などが求められる1級に分けられた資格が存在します。

 これらの資格は基本的に専門学校など一定の課程を終了したうえで試験を受けるか、一定数の実務をおこなったうえで試験を受けるなどの条件が存在します。

 そうしたなかで、整備士ですが現状はどうなっているのでしょうか。

 国産ディーラーで働くA氏は次のように話しています。

「専門学校卒業から10年以上努めています。世間的に『低収入』『重労働』『少ない休み』というイメージが持たれていますが、実際も大きくは変わりません。

 給与に関しては、さまざまな社内資格や昇級によって徐々に上がっていきますが、大きく稼げるかといえばそうではないです。

 労働環境に関して、入社時よりは大きく改善されたこともあり、昔よりは働きやすくはなっています」

 また、小規模の自動車整備工場で働くB氏は次のように話しています。

「20年以上整備士をやっていますが、作業自体は修理から交換がメインになったことで、昔ほど大変な仕事ではなくなっている印象があります。

 とはいえ、交換だけでは多くの売上も見込めないため、板金や塗装、中古車販売など整備士の仕事以外も求められるため、柔軟性や対応力が求められてきています」

 前述のように一概に整備士といっても働く会社や環境によって求められる業務は異なっているようです。

 また前述A氏は整備士業界の人材について、次のように話してます。

「長年整備士をやっている人のなかには、塗装や板金といった技術に長けていれば専門業者、営業力があれば輸入車ディーラーに転職する人もいます。

 また新人に関しては毎年のように入社しますが、整備士業務に関しては合う合わないによって続くかどうかは変わるので、一概に不人気ではありません」

 では、自動車業界全体において、整備士人口はどのように変化しているのでしょうか。

 日本自動車整備振興会連合会が公表した「自動車特定整備業実態調査結果概要」によると、2014年度には34万2486人いた自動車整備士は徐々に減少し、2022年現在では34万人を切っています。

 日本自動車整備振興会連合会の担当者は、自動車整備士業界の現状について、以下のように話します。

「自動車整備士業界の7割から8割の人が自動車整備士の数が足りないという実感を持っているようです。

 さらに、民間整備工場よりも正規ディーラーのほうが、自動車整備士の人手が足りず、今すぐにでも人材が欲しいと感じているという現状です。

 自動車整備士は、本来であれば専門学校を卒業し、資格を持った人がなるものです。

 しかし、近年では人材不足のため高校を卒業した後に整備士となり、働きながら専門学校に通うというケースもあるほどです。

 また、女性の数が非常に少ないのも現状です。自動車整備士専門学校に通う学生が100人いた場合は、多くの場合、女性の割合は2、3人ほどとなっています」

 さらに、整備士業界の現状における課題について、前出の担当者は以下のように話します。

「整備士になるためには整備士専門学校に通う必要がありますが、その学校に通う生徒の数が激減しています。

 その背景には、クルマに興味を持つ若者が減少していることが大きく影響しています。

 若者のクルマ離れは最近では大きく問題となっており、整備士を目指す人が少なくなっているのが課題なのではないかと思います」

※ ※ ※
 
 若者のクルマ離れと叫ばれて久しいですが、購入層よりも自動車産業に関わる人材での影響が大きいようです。

【衝撃】え! こんなにドロドロになるの? 数万キロで透明から真っ黒に…衝撃オイルを見る!(15枚)

「えっ!カッコいい!」 マツダの「スゴいSUV」登場! どこが良いの?

画像ギャラリー

1 2

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

2件のコメント

  1. 取り返しがつかないくらい深刻な事態にならないと、本気で対策しようと動かないんだろうなぁ
    まあ、整備士だけじゃなくて、他の職種もだけど

  2. 現役ですが関東正規ディーラでも300万下回ってますよ。
    手取りだと200万行きません。1級整備士でも。
    絶対この業界に来てはいけません。奨学金が必要ならなおさらです。
    メーカーの車を乗らないといけないので、確実に借金スタートです。車のローンと奨学金の返済、両方で手取り200万では首が回りません。
    基本的には支給の工具は足りないので自腹で購入です。いい工具は万単位です。安くて一本5000円から。5000円でも月の給料の30分の1。
    一人暮らししたら最低でも家賃だけで4万。住宅手当はショボいし。交通費も上限があるので遠い店舗に配属になれば赤字の可能性も十分ありますので。
    よっぽどお金持ちで遊んで暮らせる別収入のある人がやる仕事です。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー