国産車ではもう「インプレッサ」しかない!? 激レアすぎる「エンジン縦置きFF車」! あえて搭載する訳とは
縦置きFFを採用するメーカーは4WDが得意?
こうしたメリットを享受するために、あえてエンジンを縦置きしているのが、スバルとアウディのFF車です。
スバルのFF車といってもダイハツのOEM車の「ジャスティ」やエンジンではなくモーターを搭載する「ソルテラ」は別なので、現在では「インプレッサ」のみが該当しますが、1966年に登場したスバル初のFF車「1000」から縦置きという長い歴史を持ちます。
以降、「レオーネ」、「アルシオーネ」、2代目までの「レガシィ」とスバルの根幹を支えたモデルのFFグレードは縦置きを採用していました。
スバル「1000」が開発された当時、FFは優れたレイアウトと認識されながらもエンジン横置きは左右の重量バランスが悪いため横転の危険性を指摘されていました。
そこでスバルが出した答えがエンジン縦置きだったのですが、それに加えてエンジンの前後長を抑えつつ左右のバランスを取り、さらには重心を下げるという目的で水平対向エンジンを搭載。水平対向エンジンを縦置きするという現在も受け継がれるスバルのアイデンティティは、このスバル「1000」から始まりました。
一方のアウディは「A4」以上のモデルがエンジン縦置きを採用しています。
といっても、A4以上で現在FFグレードをラインナップしているのはA4と「A5スポーツバック」のみ。
そんな縦置きFFアウディの歴史は、A4の前身「80」のさらにご先祖にあたる1965年登場の「72」から始まりましたが、それはアウディの名を冠するようになってからの話で、アウディのルーツのひとつになる「アウトウニオン」ではさらに古くから生産していました。
アウトウニオン時代は2ストロークや3気筒エンジンを搭載していましたが、アウディ「72」になってからは4気筒エンジンを採用。
スバルのようにコンパクトな水平対向ではなく一般的な直列4気筒だったため、少しでも前後長を短くしようとエンジン本体を右側に傾けて搭載し、通常はエンジンの前にあるラジエターや補機類を空いた左側に配置しています。
現代のアウディはトランスミッションからのアウトプット(ディファレンシャル)を可能な限り前方にすることで前輪も前の方に配置し、縦置きFFの弱点である前輪より前(オーバーハング部)の重量を軽減。前後重量バランスを最適化しているのが特徴です。
スバルとアウディに共通しているのが、4WDを得意としていること。エンジン縦置きゆえプロペラシャフトを後方に伸ばせば後輪も駆動させられるので、横置きFFベースや縦置きでもFRベースの4WDに比べ効率的に4WD化できるのです。
かつてはトヨタとホンダもエンジン縦置きのFFを生産していたことがあります。トヨタは同社初のFF車となる「ターセル」と「コルサ」の兄弟車がそれで、縦置きを選択した理由はFRだった当時の「カローラ」とエンジンを共用するためといった事情だったといわれています。
ホンダは「アコードインスパイア」「ビガー(3代目)」の兄弟車がエンジン縦置きFFを採用して1989年に登場。直列5気筒という前後長のあるエンジンを搭載していましたが、デフをエンジンの下に配置することで前輪を車両前方に置くことができ、オーバーハング部にエンジンがはみ出るのを最小限に抑えています。
このレイアウトを実現するのにホンダが選んだのが、エンジンのクランクケースをドライブシャフトが貫通するという複雑な手段でした。
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もともとFFレイアウトはエンジン縦置きが主流でした。2気筒など小さいエンジンでは横置きも存在しましたが、長さのある直列4気筒となると、1959年に登場したBMC「ミニ」がほとんど最初の事例です。
その後、エンジンとトランスミッションを横並びに配するアウトビアンキ「プリムラ」の登場により横置きが主流になり、縦置きFFは徐々に減少。今ではほとんど存在しない希少種になってしまいました。
もはや新車で買える国産車はインプレッサのみ。そのインプレッサも2022年12月に現行モデルの生産が終了するので、もしかしたら今がエンジン縦置きFF車を手に入れるラストチャンスかもしれません。
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ジムニーも縦置きですね