国産車ではもう「インプレッサ」しかない!? 激レアすぎる「エンジン縦置きFF車」! あえて搭載する訳とは
一般的にFF車はエンジン横置きレイアウト、FR車は縦置きレイアウトを採用しますが、世の中にはFFながらエンジンを縦置き配置するクルマもあります。いったいどんなクルマがあり、どんな理由で縦置きを選んでいるのでしょうか。
エンジン横置きが主流のFFで縦置きを選ぶ理由とは?
クルマのパワートレインのレイアウトは、エンジンの搭載位置と駆動輪の位置で表します。
例えば、エンジンが車体の前側にあり後輪を駆動するクルマは「フロントエンジン(Front-Engine)・リアドライブ(Rear-Drive)」といい「FR」と略します。
エンジンが前で駆動も前輪の場合は「フロントエンジン(Front-Engine)・フロントドライブ(Front-Drive)」で「FF」になります。
また、エンジンは搭載位置だけでなく搭載する向きにも種類があります。エンジン「横置き」と「縦置き」の2種類で、市販車ではFFは横置きが、FRは縦置きが一般的です。
FFとFRでエンジンの搭載向きが異なるのは、それぞれ親和性が高いからにほかなりませんが、そもそも横置き、縦置きにはいったいどんな違いがあるのでしょうか。
エンジンの向きとは、クルマを上から見たときの「クランクシャフト」の向きを指します。クランクシャフトが前後方向に配されるなら「縦置き」、左右方向なら「横置き」ということになります。
エンジンは燃料と空気の混合気の爆発で生まれる「ピストン運動」をクランクシャフトで「回転運動」という力に変換。FRはフロントにあるエンジンで発生した回転を、駆動輪であるリアまで伝達しなければなりません。車体の前から後ろへと回転を伝えるのはプロペラシャフトの役目で、縦置きの場合エンジン(クランクシャフト)とプロペラシャフトの向き(回転軸)が同じになるため効率よく力を伝えることができるのです。
クランクシャフト(回転軸)が横向きになる横置きの場合は、縦向きのプロペラシャフトに力を伝えるには回転方向を90度変換することになります。決して効率的とはいえず、FRでエンジン横置きを採用しない理由のひとつになっています。
逆にプロペラシャフトが不要のFFは前輪を回転させるドライブシャフトとクランクシャフトの回転軸が同じ横向きになるため非常に効率的です。ですが、縦置きのクルマも少ないながらに存在します。
そもそもFFのクルマは後輪に力を伝えるプロペラシャフトなどがなく、部品点数が少なくて済むことから重量もコストも抑えられるのが特徴です。また、プロペラシャフトを通すためのフロアトンネルが室内空間を削ってしまうことがないため、スペース効率にも優れています。
そのためFFレイアウトは安価で実用的なクルマに多く採用され、前後長(ボンネットの長さ)が短くて済む横置きエンジンとのマッチングが良いとされるのです。
それにもかかわらず、前後長が長く室内スペースを狭めてしまうエンジン縦置きを採用するFF車があるのは、FFや横置きのメリットが多少目減りしたとしても、縦置きのメリットを優先したから。
エンジンとトランスミッションを左右に並べる横置きは重量物がフロントに集中してしまいがちですが、縦置きはエンジンの後ろにトランスミッションが配置され、さらに後ろにプロペラシャフト、ディファレンシャルと続くため、重心を車体(前後)の中央に近づけることができるのです。
また、横置きは重さが異なるエンジンとトランスミッションが横並びになるため左右の重量に偏りが生じるだけでなく、トランスミッションと駆動輪を繋ぐドライブシャフトの長さが左右で異なりトルクステアが発生しやすいという欠点があります。
その点、車体の左右中央にエンジン、トランスミッションと縦並びに配置する縦置きは左右の重量バランスに優れ、エンジンから発生する回転力も車体(左右)の真ん中から駆動輪へと配分されるためトルクステアは発生しません。
さらに、車幅いっぱいにエンジンとトランスミッションが並ぶ横置きと比べ、縦置きはエンジンルーム左右にスペースの余裕があります。
そのためサスペンション設計の自由度が高くハンドリングや乗り心地を良くすることができ、排気管の取り回しにも優れるのでパワーを得やすく静粛性も確保しやすいのです。
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ジムニーも縦置きですね