なぜ昔の「車名」復活させる? 過去の栄光&やむを得ない… 二極化するメーカーの事情とは

ひっそりと復活した車名も?かつての車名を「使わざるを得ない」事情とは

 そのほか、近年で車名が復活した例としては、マツダ「フレア」やスバル「ジャスティ」のよう例があります。

 それぞれOEM車の名前に使用されており、NSXやスープラのように、かつての名車が華々しく復活したという印象ではありません。

 これらのクルマは、NSXやスープラの例とは異なり「同じDNAを持つクルマ」というにはやや違和感があります。

 であるなら、まったく新しい車名を与えれば良いように思えますが、実際にはそのハードルは想像以上に高いのが実情のようです。

 企業などが提供する製品やサービスの名称は、特許庁に商標登録することで他者がその名称を利用することを制限することができます。

 ほとんどすべての車名が事前に商標登録されており、ほかのメーカーが使用することは現実的にはまず不可能です。

 ただし、商標登録は申請すれば必ず承認されるというものではありません。

 例えば「エンジン」や「SUV」など、すでに一般的に用いられている名称で、使用が制限されると公益に反するようなものはほぼ確実に認められません。

 また、すでに他者によって商標登録されている名称と同じか、もしくは類似しているものも認められる可能性は限りなく低いとされています。

 そうした事情のなかで、前出とは異なる自動車メーカーの担当者は車名に関して次のように話しています

「クルマの車名を決めるもしくは発表するのには多くの時間を要します。

 とくに新しく登場するモデル、もしくは空白の期間を経て登場するモデルの場合、『車名の打ち出し方』でユーザーの第一印象が決まってしまうからです。

 とくにある程度認知度が高いクルマであればブランド化していることもあり、少なからずの賛否があります。

 そうしたことも考慮しながら『どのタイミングで発表するのか』もふまえて検討しています」

かつての名車を採用したスバル「ジャスティ」
かつての名車を採用したスバル「ジャスティ」

 一方、ユーザーが覚えやすく、なおかつ親しみやすい車名にしなければならないというメーカー側の事情もあります。

 これらの制約のなかで、まったく新しい車名を考案することはかなりの労力とコストを要します。

 例えば、新型EVのような次世代を担うまったく新しいモデルであれば、そうしたコストを掛けるメリットは十分にあります。

 しかし、コストパフォーマンスの重視されるモデルや、そもそも多くの販売台数が見込めないようなモデルでは、車名に対して必要以上のコストを掛けることはできません。

 そのため、すでに商標登録されている車名を再び利用するということがおこなわれるようです。

 つまり、かつての車名を利用する背景には、過去の栄光にあやかりたいというねらいもある一方で、新たな車名を与えることが想像以上に難しいという、メーカー側の事情もあるようです。

※ ※ ※

 商標登録という視点でいえば、2022年5月に登場した日産「サクラ」は、その車名を与えるのにかなりの労力を要したといわれています。

 サクラは日本を代表する花の名であり、ひろく一般に知られている名称であるため、商標登録されることで使用が制限されてしまうと、公共の利益に反する可能性があります。

 一方、日産が販売する新型軽EVにとって「サクラ」は最適な車名です。

 そこで、日産では自動車の車名や関連部品など、商標として利用する範囲を厳密に制限することで「サクラ」という名称を実現したようです。

 このように、車名ひとつをとっても、それぞれに大きなドラマがあることがわかります。

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4件のコメント

  1. クラウンの名は廃止してヴァンガード復活とでも言っとけば良かったのに

  2. 軽自動車のハスラーはオフロードバイクのハスラー(TS-50)から来ているけどね。

  3. 何の関係もない他社製品のOEMに過去の自社の名車の名前を付けるトヨタの節操のなさwww

  4. >このふたつのロッキーには、コンパクトなSUVであるという以上の共通点はほとんどありません。
    って言ってるけどNSXだってミッドシップのスポーツカーという以上の共通点ほとんどないでしょう
    かたや軽量ボディで電子的なデバイスに頼らないスーパーカー
    かたやハイブリッドで電子的デバイスに頼らざる負えないスーパーカー

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