なぜ「スポーツカー人気」が再燃? 若年層が関心持つ要因はSNS? 一方「最後のガソリンMT」という危惧も後押しか
スポーツカー人気はこの先も続くのか?
こうした現状から、1990年代をピークとした「国産スポーツカーブームが再び到来するのではとないか」という期待も覚えますが、話はそう簡単ではないようです。
スポーツカーを厳密に定義するのは非常に難しいものですが、「2ドアクーペ」かつ「MT」という要素を必須とすると、2022年8月現在でラインナップされている国産車は、GR86/SUBARU BRZ、ロードスター、フェアレディZ、スープラなどです。
またハッチバックではGRヤリス、GRカローラ、スイフトスポーツ。4ドアではシビックタイプRも存在しています。
そのうち、GR86はSUBARU BRZと、スープラはBMW「Z4」と共同開発となっており、また、フェアレディZは「新型」と銘打ってはいるものの、実際には先代モデルの型式を継続しています。
もちろん、これ自体は必ずしもネガティブなことではなく、優れたスポーツカーを手の届きやすい価格で提供するための「工夫」のひとつです。
ただ、逆にいえば、こうした「工夫」をもってしなければ、新たなスポーツカーを提供できないということでもあります。
当然のことながら、新車の開発には莫大な費用が掛かります。また、排出ガスや騒音などの規制も年々厳格化しており、そうした規制への対応も非常に多くの時間とコストが掛かります。
新車価格を上げることでバランスをとる方法もありますが、多くの人に手の届く価格であることを優先すると、価格にも上限があります。
100万台単位の販売が見込める主力モデルであれば新規開発をおこなうメリットもありますが、ほとんどのスポーツカーではそれほどの台数を販売するのは現実的ではありません。
GRヤリス/GRカローラやスイフトスポーツ、シビックタイプRといったモデルはもちろん高性能を目指した開発はされているものの、それぞれ主力モデルの派生車であるため、単独で新規に開発コストをまかなうことを避けられています。
一方で、スポーツカーの与えるイメージは、現代のクルマにおいては重要な要素です。
そのため、実際の販売台数はそれほど多くなくても、ラインナップのなかにスポーツカーやスポーティグレードを用意する可能性は多いにあります。
また、今後市場が拡大していくと見られるEVにおいては、その滑らかな加速感を活かしたスポーツカーが登場していく可能性は十分にあります。
トヨタでは、EVに擬似的にMTの感覚を持たせるシステムの開発をおこなっているという噂もあります。
ガソリンエンジンのみのスポーツカーの存続は難しくなっている昨今ですが、電動化時代になってもスポーツカーは形を変えつつ残っていくことは間違いないでしょう。
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スポーツカーの開発が難しくなっているなかで、ロードスターは単独での開発が続けられている稀有な存在です。
コストパフォーマンスに優れたライトウェイトスポーツカーとして30年以上にわたって愛されているロードスターは、2016年には累計生産台数が100万台に達し、現在でも「2人乗り小型オープンスポーツカー」生産累計世界一のギネス世界記録を更新し続けています。
限りなく高い壁ではありますが、ロードスターほどの人気を得ることができれば、スポーツカーの単独開発は決して夢ではないようです。
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