「車両火災」遭遇時に何をすべき? 第一は「安全確保」だが… 次に取るべき行動とは

まずは冷静に! 映画のように「いきなり車両が爆発的に燃える」ケースは少ない

 車両の衝突直後に爆発的な車両火災が発生する可能性の低さについては、乗用車も基本的に同じだと考えられます。実際、筆者はこれまで一般公道や高速道路で、車両火災の現場に何度か居合わせ、事故発生時から間もない頃から、車両が全焼するまでの経緯を体感し、車内にいた人を車外に出すサポート行為もおこなっています。

 また特殊な事例としては、国内外の自動車レース施設でレース中の事後での車両火災の現場に遭遇したり、また長年に渡り自動車レース中継番組の解説をしてきた立場として、数多くの車両火災シーンを見てきました。

 そうした経験上、車両が走行中に爆発的に炎上したり、衝突直後に爆発的に炎上するケースは、直線路での加速性能を競うアメリカのドラッグレースなど、ごく一部のケースに限られます。

車両火災による交通整理の様子[画像はイメージです]
車両火災による交通整理の様子[画像はイメージです]

 なぜならば、レーシングカーに限らず、乗用車やバス・トラックでは、火元になっては絶対にいけない燃料タンク、またはその周辺の車両構造に対する安全性を十分に考慮しているからです。これは、バッテリーを搭載するEV(電気自動車)でも同じです。

 それでも、クルマには燃料タンクとエンジンの間に燃料を送るためのパイプなどや、各種の可動部に対するオイルを搭載しているため、衝突の衝撃でそれらが漏れるなどして、そこに何らかの原因で着火する危険性はあるといえます。またリチウムイオン電池では、内部短絡などによる発火という事例も過去には海外で発生しています。

 ただし、衝突直後、または車両の異変が生じた直後に、クルマで爆発的な車両火災が起こる可能性はかなり低いと考えられます。

 そのため、仮に自分が運転するクルマから火が出た場合、慌てずに路側帯などにクルマを停めて、クルマからかなり離れることが重要です。

 または、事故で停止したクルマから発火した場合も、クルマからかなり離れることが大事だと思います。

 レーシングカーなど特殊なクルマでない限り、車載消火器を携帯するクルマはないでしょうし、仮に消火器を搭載していても、火が出たエンジンフードを開けるなどの行為は危険であるため、まずはクルマからかなり離れるべきだと考えます。

 車両火災では、今回の名古屋バス事故でもあったように、火が燃え広がるなかで車両内の何らかの部品が爆発することがあるため、車両火災のクルマから、かなりの距離をとったところまで逃げる必要があると思います。

 こうして、自身や他の乗員の安全を確保した状態で、119番または110番などに通報することになります。

 そして見逃しがちなポイントをもうひとつ。火災車両の位置で、道路に傾斜がある場合、傾斜の上側に逃げることも大事です。

 車両火災が進むとブレーキ機構が失われて、車両が燃えた状態で道路の傾斜に沿って動き出す危険性があるからです。

 実際、筆者はそうした状況を体験しています。

※ ※ ※

 いずれにしても、一般道路や高速道路で、一般の方が車両火災の当事者になるケースは少ないと思いますが、今回の名古屋バス事故で分かるように、そうした危険性は常に存在していることを日頃から認識していることも大事です。

 以上は、筆者の様々な実体験に基づく私見であり、様々な情報のひとつであることをご理解頂きたいと思います。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。

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