雷ピカっ! 定番「車内避難」は本当に安全? 一概に「クルマの中」が良いとは言えない理由とは
ゲリラ豪雨が多くなりがちな夏ですが、同時に雷も多発しています。昔から「クルマの中」にいれば安全といいますが、それは本当なのでしょうか。
夏の天候は変わりやすく、急に空がゴロゴロと鳴り始め雷を伴う雷雨となることがあります。
そんななか「クルマの中なら安全」といわれていますが、実際にはどうなのでしょうか。
毎年7月から9月頃は、全国各地で雷が多く発生する時期です。雷の電圧は1億ボルトを超えるといわれており、人の身体に直撃したらひとたまりもありません。
また雷は場所を問わず落ちることがあり、一般的に鉄塔や木など「高い所」を経由することが多いものの、歩行中の人に落雷した事例もあります。
このため、雷雲が近づいてきたときには、安全な場所に避難する必要がありますが、安全な避難場所として昔から「クルマの中」(車内)が挙げられてきました。
気象庁でも「鉄筋コンクリート建築、自動車(オープンカーは不可)、バス、列車の内部は比較的安全な空間です」と説明しており、避難場所のひとつに自動車を挙げています。
では、車内に避難したとして、そのクルマに雷が落ちた場合、乗員は無事でいられるのでしょうか。
これについては過去にJAFが実証実験をおこなったデータがあります。
JAFの実験では、140万ボルトに設定した人工雷を利用し、クルマに意図的に雷を落雷させています。
結果として、乗員への被害はなくハンドルを握っていても感電するといったトラブルもありませんでした。
また、車内の装置などにもとくに目立った影響はなく、デジタル時計にわずかな誤差が生じた程度であり、エンジン回転数などには問題はなかったようです。
ただし、ボディの外装はダメージを受けたようで、落雷した箇所の塗装に傷のようなものが見られました。
このように、JAFの実験では落雷による被害を受けにくいことがわかりましたが、JAFの担当者は、次のように慎重な見解を示します。
「クルマのボディを通して電気が伝わり、金属部分から感電してしまうおそれがあるため、必ずしも車内が安全とはいい切れません」
雷の正体は電気で、電気は人体よりも、金属などの電気の流れやすい物質を優先して経由する特性があります。
また一定方向にしか流れないという特性もあるため、たとえば金属の箱に電気を流すと、箱の表面を伝って地面に抜けていきます。
クルマも金属の箱のようなものとなっており、落雷した場合、ボディ表面を伝って、タイヤから地面に電流が抜けていきます。
そのため、JAFの担当者が話すように、車内にいても金属部分には電流が流れている可能性があり、落雷時はドアノブなど車内の金属部分に触れないよう注意する必要があります。
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