首都高に「右側通行」が存在!? 左右を地下で入れ替えた合理的な理由とは

車道は基本的に左側通行で設計されていますが、首都高には右側通行になっている区間が存在します。なぜ、左右を入れ替えたのでしょうか。

東京で建設が進む高速も右側通行!

 山手トンネルの右側通行は、緊急時の安全確保にも関係しています。

 長いトンネル内で緊急事態が発生した場合、非常口を通って対向車線のトンネルに避難できるようになっている場合があります。

 これが左側通行の場合、非常口から出た先が対向車線の右側(追越車線)になるため、左の路肩へは道路を横断する必要が生じますが、これには大きなリスクが伴います。

 しかし右側通行だと反対車線の左路肩に直接出られるため、比較的安全に避難できるというわけです。

外環道と中央道が交差する中央JCT(仮称)の建設現場。この地下を「右側通行」で外環道のトンネルが通る
外環道と中央道が交差する中央JCT(仮称)の建設現場。この地下を「右側通行」で外環道のトンネルが通る

 長い山手トンネルは、右側通行以外にもさまざまな安全対策が施されています。

 反対方向に避難するための非常口に加え、トンネルが上下並びなどによって対向車線に避難できない区間には、独立避難経路が設置されています。

 また、トンネル内にはカメラが100m間隔で死角なく設置されています。交通管制室が24時間体制でトンネル内の交通状況や各設備の状態を確認しているため、事故や火災などに素早く対処することが可能です。

 また、山手トンネルの大橋JCT~大井JCT間では大型の換気場を4か所設置したほか、ジェットファンやミスト噴霧を用いてトンネル内の環境を整えています。

※ ※ ※

 右側通行のトンネルは、首都高だけではありません。

 現在建設が進められている外環道の東名~関越間のトンネルも、実は右側通行になります。右側通行の理由は、首都高と同様に安全な合流や緊急時の安全確保のためです。

 なお首都高 山手トンネルや外環道で建設中の右側通行区間は、片側通行分のトンネルが2本並んでいる状態なので、実際の走行では対向車線が互いに見えません。したがっていつもの左側通行の感覚で走れるようになっています。

 そのため意識することや気付くことは難しいですが、注意深く観察すると右側通行ならではのレイアウトや設備を発見できるかもしれません。

【画像】よく見ると右側通行の路線図と、高速道路の珍スポットを見る(21枚)

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