EVのほぼ無音は、利点なのか? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.154~
レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、EVの音がしないことは欠点だと言います。どういうことなのでしょうか?
音が静かなのは良いことだが……
EV戦略を積極的に進める日産のテストコースで、僕(木下隆之)は某新型車両のプロトタイプをテストドライブした。ガソリンエンジンを積まない「BEV」だ。最近「EV」と表記すると、ハイブリッドや水素燃料車と誤解されることがあるため、充電したバッテリーだけをエネルギーとして走行するEVをBEV、つまり、バッテリー・エレクトリック・ヴィークルとしている。
そのBEV試乗に先立って、開発担当者のプレゼンテーションを授かった。その時に気になったフレーズが「ガソリンエンジンを搭載しないEVの最大の利点は、音がしないことです」だ。
さすがにBEV開発担当者らしいコメントである。だけど、そのブレーズには大きな間違いがある。正しく言うならば「ガソリンエンジンを搭載しないEVの最大の“欠点”は、音がしないことです」である。
やや揚げ足取りのような気がするものの、僕はどうもBEVの無音に近い空間を居心地悪く感じている。確かに動力源は大きな音を発しないかもしれないが、それが理由でタイヤノイズや風切り音が、かえって煩わしく感じてしまうのだ。
室内の騒音をデジタルに計測すると、おそらくガソリン車よりもBEVの方が静かなのだろうと想像する。だけど、人間である僕の耳には、どちらがうらさく感じるかと問われれば、タイヤがゴーゴーと唸って聞こえるBEVの方なのだ。そもそも最近のガソリン車はとても静かだし、多少の排気音がタイヤノイズを中和してくれる。
それがバイクとなれば、音がしないことは重大な出来事だ。内燃機関が奏でる排気音は、どんな音楽にも勝るサウンドに感じる。バイクに乗るのは、あのサウンドを聴くためだと言っても大袈裟ではないくらいだ。
空気が振動して伝わる音だから、耳だけではなく全身でサウンドを感じていると言ってもいい。
という理由で「ガソリンエンジンを搭載しないEVの最大の“欠点”は、音がしないことです」なのである。
提供:バイクのニュース
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Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。
エンジン音を楽しめないことが欠点というよりも、エンジン音が周りに聞こえないことで周りに接近を察知して貰えない結果、後方の確認をせずに横断する人(歩行者・自転車・バイク・車両全般)との接触事故が増えるという欠点。
利点としては何だろう。夜中の住宅地だと出かける時も、帰ってきた時も近所迷惑に成らないことかな。緊急車両のサイレンについては、車内の静粛性の向上で聞こえにくいけど、エンジン音がない分だけ聞こえやすいかも知れないけど、耳くそが取れるくらい音量上げてる人には無意味だし。携帯電話の通話に関しては相手が聞き取りやすいのかもね。