なぜ「事故物件車」に告知義務ない? 「事故物件」には告知事項も! 気づかぬうちに市場流出している可能性も

クルマを中古車で購入する場合、そのクルマがどのような状態なのかを気にするのが一般的です。一方で不動産の場合には前の住人または所有者していた物件になんらかの問題があった場合「告知事項」と呼ばれるものが存在します。では、中古車ではそのような告示義務はないのでしょうか。

夏なので「とっても怖い中古車の話…」 中古車を販売する際の「告知義務」とは?

 不動産には以前に住んでいたまたは所有していた物件になんらかの問題があった場合、「告知事項」と呼ばれるものが存在します。
 
 大抵の場合、直前に住んでいた人が亡くなったなどの内容が多いようですが、その一方で中古車(事故物件車)には不動産のような「告知事項」は存在しないのでしょうか。

前所有者に関する告示義務がない「事故物件車」とは
前所有者に関する告示義務がない「事故物件車」とは

 クルマを買取りや下取りをしてもらう際や仕入れた中古車を販売店が販売する場合に、必ず告知しないといけないことがあります。

 単にボンネットやドア、フェンダー周りを損傷し、へこんだ場所の板金や塗装をしたり、ねじ止めなどで付け替えできる部品やパネル部位を交換しただけのクルマであれば「告知義務」はありません。

 告知義務が発生するのは「修復歴車」と呼ばれるフレーム(骨格部)まで関わるような大規模な損傷を受けた場合です。

 なにかしらの事故を起こしたり、修理・修復を施したクルマに対し「事故歴」「修復歴」「修理歴」とさまざまな呼び名や誤用があるため、混同されがちです。

 これらは似ているようで実は明確な違いがあり、このなかで告知義務があるのは「修復歴アリ」のクルマです。

 簡単にいうと骨格部分を損傷したクルマのことで、修理済・交換済に関係なく「損傷を受けた時点で」告知義務が発生します。

 フレーム(サイドメンバー)/クロスメンバー/インサイドパネル/ボディピラー/ダッシュパネル/ルーフパネル/フロアが該当します。

 これ以外の板金塗装含む損傷、例えばドアパネル交換、ドアパネル板金、バンパーのへこみ修理、ボンネットの修理などは「修理歴あり」または「交換歴あり」となりますが、査定の大きなマイナスポイントにもならず、買取価格に大した影響はありません。

 では、前述のように事故物件車の場合はどうなるのでしょうか。

 事故物件という言葉も最近では一般的になりました。

 アパートやマンション、一戸建て含めた不動産の場合、事件や事故、自殺などで人が亡くなった物件は「心理的瑕疵物件」(=事故物件)と呼ばれます。

 心理的瑕疵とは、物件の物理的な瑕疵(不具合や欠陥)ではなく、自然死以外で人が亡くなったことで次の入居者となる人が「住みたくない」「気持ち悪い」と思う心情のことをいいます。

 ごく自然な病死の場合は心理的瑕疵とはいいませんが、孤独死ですぐに発見されず特殊清掃が必要となるような場合は心理的瑕疵物件に相当するといわれています。

 国土交通省は2021年5月過去に人の死が発生した物件の賃貸・売買時の告知義務についてまとめたガイドラインを公表しました。

 賃貸契約の場合は事件などの発生からおおむね3年間、売買契約では期限なしで告知義務が課せられることになります。

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