なぜクルマの「運転免許」は18歳から? バイクは16歳からなのに… 年齢制限が異なる理由とは
運転免許はクルマやバイクなどを運転するために必要な資格ですが、それぞれの種類によって取得出来る年齢が異なります。なぜ、クルマとバイクの免許では制限される年齢が違うのはなぜなのでしょうか。
バイクは16歳なのに?クルマの免許が18歳以上からなのはなぜ?
運転免許には取得するための年齢制限がありますが、クルマの免許とバイクの免許で制限される年齢が違うのはなぜなのでしょうか。
日本における運転免許の制度は、道路交通法第6章「自動車および原動機付自転車の運転免許」の第84条「運転免許」において定められています。
また、各都道府県の公安委員会からの許可を受けることでクルマの運転が可能となり、運転免許証はこの許可の証として交付されるものです。
日本の公道でクルマやバイクを運転するときは、この運転免許を必ず取得し、交付される運転免許証を所持していなければなりません。
道路交通法第6条では、クルマの用途や大きさによって免許区分が分類されており、それぞれに取得可能な年齢等の条件が設けられています。
一般的に乗用車の運転に必要な「普通自動車運転免許」は、満18歳以上で取得することができ、バイクの運転に必要な「原付免許」や「普通二輪免許」は、満16歳以上で取得することが可能です。
ただし、運転免許を取得するまでの教習課程の修了検定および仮免許の試験を受ける際に、満18歳以上(二輪免許の場合は満16歳)を満たしている必要があります。
実際にパーク24は自社のアンケートにて、クルマの運転免許証を取得した年齢を調査しており、「18歳(38%)」が最多、「19歳(15%)」と20歳未満が過半数を占める結果を公表しています。
また、運転免許証を取得した理由について「運転免許証の取得が当たり前だと思っていた(33%)」が1位となり、2位は僅差で「運転したかった(32%)」だったようです。
このように、18歳になったタイミングで運転免許を取得する人が多く見受けられるなかで、なぜクルマとバイクでは同じ公道を走る乗り物であるにも関わらず、取得するための年齢制限に差があるのでしょうか。
その背景には「就労の義務」が関係しているようです。
免許の歴史は1903年、愛知県で日本初の自動車免許制度「乗合自動車営業取締規則」が制定されてから始まり、1919年に「自動車取締令」が施行されたことで、自動車の運転免許制度は法制化されました。
その背景には、全国の自動車保有台数が1912年には500台ほどであったのに対し、1924年になると2万台以上へと爆発的に増えたことが関係しています。
この頃の免許取得の対象年齢は、一律18歳以上でした。
一方、1933年の「自動車取締令」改正では、運転免許は「普通免許」「特殊免許」「小型免許」の3種類に分類され、初めて「普通免許」が登場しました。
普通免許と特殊免許はどちらも18歳から取得でき、小型免許は16歳から試験なしでの取得が可能でした。
この小型免許で運転できるクルマは、750ccまでの小型四輪車、小型三輪車、自動二輪車です。
自動車取締令が改正された1933年では、普及していたとはいえ四輪の普通自動車はまだ高級品であったため、仕事などでは二輪車やオート三輪が中小事業者の間などで利便性の高い輸送手段として多く使われていました。
戦後から庶民の間で活躍していたオート三輪は、配達や石炭採掘などとにかく様々な仕事の足として活躍してしていました。
四輪車に比べ、格段に小回りしやすくて値段も安く、何より荷物をたくさん積載できて悪路にも強いことが重宝された理由のようです。
有名なものではマツダ「T2000」やダイハツ「ミゼット」などのオート三輪がありました。
義務教育の期間が中学校までだったこともあり、1930年のデータでは高等学校への進学率は男子5.3%、女子0.6%と大変低かった時代でした。ちなみに、現代では男女ともに95%以上が高等学校へ進学しています。
そのため、中学校を卒業したらそのまま働く人たちが乗れるように、二輪車免許が含まれる小型免許の対象年齢が改正され、16歳から免許取得が可能となったようです。
そして1960年には、「自動車取締令」に代わって「道路交通法」が施行されました。
「小型免許」が廃止され、「小型自動四輪」は「普通免許」に組み入れられ、「三輪免許」も廃止されたため、16歳以上で取得できる免許は「自動二輪免許」だけが残りました。
現在、バイクの免許の年齢制限が16歳からであるのに対し、クルマの免許取得の年齢制限が18歳以上なのは過去の免許制度の名残りであるといえます。
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ちなみに、道路交通法では取得可能な年齢は定義されているものの、上限は定められていません。
しかし、運転免許証の更新日が満70歳以上となる場合は、更新手続きの前に「高齢者講習」を受ける必要があるので注意が必要です。
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