なぜシフトは「P‐R‐N‐D」採用が多い? 15代目「クラウン」もストレートタイプ! 車種で操作感異なるも配列が同じ理由とは
ストレートからゲート…さらに進化が進む最近のAT車のシフトはどうなってる?
前述したように、AT車のシフトには、ストレートタイプが多く見られますがほかにも「ゲート式」が広く普及しています。
ゲート式では、シフトパターンの配列はストレートタイプと同様に「P‐R‐N‐D」になっているものの、ギアの配列がギザギザとしているのが特徴的です。ストレート式と違って、各ギアでシフトが固定されやすくなっているので、シフトミスを防ぐというメリットがあります。
もとは、メルセデス・ベンツが特許を有していたシフト形状となっていたため、ほかのメーカーが活用することはできませんでしたが、特許の期間が失効したことで、幅広いメーカーで採用されるようになりました。
また、近年では、電気信号を用いてシフト操作をおこなう「シフト・バイ・ワイヤ方式」が普及しています。
シフト・バイ・ワイヤ方式では、ミッション本体とシフトセレクターを機械的につなぐ必要がないため、好きな場所にシフトを設置でき、シフトノブの形状や大きさなども自由にデザインできます。
自由度の高いシフト・バイ・ワイヤ方式の普及によって「スイッチ式」、「ダイヤル式」、「ジョイスティック式」など、最近のAT車のシフトはバリエーションが豊富になっています。
ただし、シフト・バイ・ワイヤ方式のシフトを採用しているクルマであっても、ガソリン車の場合は従来の「P‐R‐N‐D」の配置を変えずに引き継いでいるモデルが多いのが実情です。
これには、シフトの操作ミスを防ぐという重要な役割があることが考えられます。
これまで長らくクルマを運転してきたユーザーにとって、シフト操作は目視でおこなうものではなく、感覚的におこなうものとなっています。
もちろん、目で見てシフトの位置を再確認する人もいるかもしれませんが、それはあくまでも念のための確認であり、基本的にアクセルやブレーキペダルを操作するのと同様に、シフトは目視しながら操作するものではありません。
そのため、運転に慣れているベテランであればあるほど、「P‐R‐N‐D」のシフト感覚が手に強く残り、ほかのパターンになっていたときに、思いがけずシフトミスをおこしやすいという可能性があります。
なお、ダイヤル式では、縦方向のギア配列ではなく、横方向のギア配列になっているモデルが多く見られますが、そうした場合でも横方向に「P‐R‐N‐D」が並んでおり、ほかのシフト形状と同様のイメージで操作できるようになっています。
シフトの形状は多様化していますが、ユーザーの運転のしやすさを考慮するとシフトパターンの変化が急激に起こることはなさそうです。
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ちなみに、モデルによっては、「P‐R‐N‐D」のあとに「B」や「L」のギアも設定されている場合があります。
「B」は「brake(ブレーキ)」、「L」は「low(ロー)」を表しており、どちらも勾配が急な上り坂など、パワーが必要な走行時に活用できるようになっています。
モデルによって、シフトパターンは異なるため、初めて運転するクルマや運転が不安な場合には、走行前にシフトの確認をしておくのが良いかもしれません。