今さら聞けないヒール&トゥ! 本当に必要? その役割と練習方法とは
ヒール&トゥはマニュアル車を所有・運転するユーザーにとっては、聞き慣れた運転テクニックかもしれませんが、実際どのような動作を指すのでしょうか。その必要性も含めて検証します。
「ヒール&トゥ」はマニュアル車で使う技術
ヒール&トゥというのはマニュアルトランスミッション(MT)のクルマでスポーツ走行時などに使われるテクニックです。
スポーティなMT車を所有・運転するユーザーには聞き慣れた運転テクニックかもしれませんが、その役割はどのようなものなのでしょうか。
ヒール&トゥは、クルマのスポーツ走行時などにおける減速時、MTのシフトダウンをおこなう際に使うテクニックです。
エンジン回転数をトランスミッション側と同期させる事により、シフトショックを起こさずにシフトダウンを完結させ、クルマの姿勢を安定させつつ減速後の再加速(コーナー脱出時等)を適したギアで行うための技術です。
MT車で変速を行う際、減速が不十分なままシフトダウンを行うと、クラッチを繋いだ瞬間にエンジン回転数が急上昇し、エンジンブレーキによる強い減速で前方向への急な荷重移動が起こってしまいます。最悪の場合、駆動輪がロックするシフトロックもあり得ます。
これがスポーツ走行時などのハイスピード域で発生すると、スピンや横滑りといった危険な動作を引き起こしてしまいタイムを落としまうばかりか、重大な事故に繋がる可能性もあります。
ではヒール&トゥは実際にどのような操作手順でおこなうのでしょうか。
ヒールというのはかかと、トゥはつま先を意味します。MT車にはペダルが3つ備わりますが、左足でクラッチペダルを操作しながら、右足はかかとでアクセルペダルを操作するとともに、同時に右足のつま先でブレーキペダルを操作する技をヒール&トゥといいます。
通常走行では、右足はアクセルかブレーキのどちらかを操作し、左足のクラッチと合わせ同時操作でも2ペダルまでを動かすことになりますが、ヒール&トゥのテクニックを使えば、最大3つのペダルを同時に操作することができます。
ここでヒール&トゥのやり方について、さらに詳しく解説しましょう。
まず、ブレーキペダルの初期操作は通常時と変わらず右足のつま先で操作し、クルマを減速します。
目的のスピードまで速度を低下させた直後、左足でクラッチを踏み込むと同時に右足のかかとでアクセルペダルを操作します。クラッチが切れてミッションとの接続が切れた状態となったエンジンの回転数を上昇させることができます。わかりやすくいえば「空ぶかし」です。
このとき素早くシフトダウンを行い、左足のクラッチペダルを離してエンジンとミッションを接続します。
ここでクラッチを繋いだ瞬間にシフトショックが発生しなければ、ヒール&トゥは成功です。
操作に慣れてないとエンジン回転数の調整に苦労する事になりますが、ここに関しては反復して「コツ」を掴む必要があります。
なぜならば、エンジンの特性や変速比、ペダルの位置関係などクルマによってさまざまなので、ドライバー側の調整が必要となってくるためです。
ヒール&トゥはダブルクラッチとセットでなければ効果は半減します、なぜならフライホイールを回さないで空ぶかししただけではエンジン回転とミッションの回転が合わないからです、シングルクラッチでも減速はできますが減速のショックを軽減することはできません。