日産新型「エクストレイル」初公開! 9年ぶり全面刷新で「何が変わった?」 新「e-POWERターボ」搭載!? 待った甲斐あった?

まさに「e-POWER ターボ」並の走り!?

 では、新型エクストレイルの走りはどうだったのでしょうか。

 今回は18インチを履く「X」に試乗しました。誤解を恐れずにいえば、「新型、ちょっと良く作りすぎてしまったのでは?」と感じるくらいの伸び代を感じました。

 新世代e-POWERは、常用域は「エンジンの存在は消える」、加速時は「エンジンの存在が光る」という二面性を持っています。

 バッテリー残量が多いとき時は路面検知による発電制御をはじめとするエネルギーマネージメント最適化も相まって常用域のみならず加速時もほぼエンジンは掛からず。

 エンジンが始動しても低回転で効率よく発電するためエンジンの存在もほぼ感じず、常用域での走行時にエンジンが騒がしく唸るシーンは一度もありませんでした。

 この辺りはVCエンジンの特性を活かした制御に加えて、車体側の吸音・遮音性能も大きく寄与した結果、エクストレイルとは思えない静けさを手に入れています。

 アクセル開度が大きいシーンでは大排気量並みのトルクによる力強さに加えて、その力強さが続く伸びの良さを実感。

 これは車速とエンジン回転数がマッチした制御と雑味のないエンジンサウンドが効いているはずです。

 e-POWERはエンジンと駆動系に機械的な繋がりはありませんが、新型エクストレイルのそれはまるでそこに繋がりがあると思うくらいリニアで自然なフィーリングで、まさに次世代e-POWER×VC Turboとの組み合わせにより「e-POWER Turbo」と呼べれる存在かもしれません。

 ちなみにドライブモードが用意されていますが、「ECO」はアクセルに対する応答が穏やか、「スポーツ」は応答性アップと積極的にエンジンが始動と明確にキャラ変はしますが、個人的には走り方に合わせて最適化する「AUTO」がベストだと思いました。

世界初の「次世代e-POWER × VC Turbo × e-4ORCE」搭載でこれは「e-POWERターボ」と呼べる存在に!?
世界初の「次世代e-POWER × VC Turbo × e-4ORCE」搭載でこれは「e-POWERターボ」と呼べる存在に!?

 フットワークはどうでしょうか。

 先代はクルマとしてのバランスは悪くないものの、ハンドリングも快適性も“並”レベルでしたが、新型はクラストップレベルの仕上がりで「SUVらしからぬハンドリング」と「プレミアムセグメントに匹敵する質の高い快適性」を両立しています。

 具体的には車体、サスペンション、ステア系とすべてにおいて剛性感ではなく剛性の高さを実感。

 そのうえで直結感が高く正確無比なステア系、舵角一定で狙った通りに曲がる一体感の高いハンドリング、そして外乱に影響されない直進性の高さなどは、クロスオーバーSUVであることを忘れます。

 これらは基本素性の高さとe-4ORCEの相乗効果ですが、「機械が曲げている」という感じは一切ありません。

 日常域を大きく超えたハードなコーナリングも試してみましたが、アンダーもオーバーも出さず何事もなく走ります。

 この辺りはe-4ORCEにより4つのタイヤの能力を効率的かつ最大限に使いながらコーナリングができている証拠でしょう。

 まるで「俺、運転が上手くなった?」と錯覚してしまうレベルの意のままの走りは、先代に対して明確にスポーティです。

 ただ、誤解してほしくないのは単に足を引き締めてスポーティにしたのではなく、クルマ全体で実現させた本質的なスポーティだということです。

 その証拠に快適性はまったく犠牲になっていません。全域でアタリの優しい乗り心地で常用域は足が良く動く印象、速度が高なるにつれてフラット感が増していくイメージです。

 ちなみに重箱の隅を突くと、前席はとくに気にならなかったものの後席はシートの薄さが原因なのか、振動/コツコツが前席よりも伝わりやすいかなと。ただ、ハンドリングとのバランスを考えれば、許容範囲内でしょう。

 このように新型の走りは「変貌」という言葉が相応しいくらいレベルアップしています。

 エクストレイルのDNAである「タフギア」に加えて、最新のSUVに求められる「上質さ」、そして日産独自の「先進技術」がバランス良く盛り込まれた新型エクストレイル。ズバリ、待っていた甲斐がある1台だといえるでしょう。

※ ※ ※

 なお新型エクストレイルには日産のサブブランドのひとつである「AUTECH」も設定。エクステリアはドットパターンのフロントグリルやメタル調フィニッシュ、インテリアはブラック×ブルーのコーディネイトやレザーシート(専用キルティング)などにより、プレミアムスポーティを演出。

 車体/サスペンションはノーマルから変更はありませんが、エクストレイル唯一となる20インチタイヤ(ミシュラン・プライマシー4)&アルミホイールを採用しています。

 こちらも試乗しましたが、ハンドリングはノーマルよりもシャキッとした印象。コーナリングは同じ速度で進入するとノーマルよりもタイヤ一本分くらいイン側に入れる限界の高さは実感しますが、そのときのコントロール性はノーマルのほうが一体感があり優れているかなと。

 乗り心地はノーマルよりは引き締められていますが、柔らかいシート表皮と振動吸収性の違いなのか、後席の快適性は高いと感じました。

 この辺りはe-4ORCEとタイヤとのマッチングの僅かな差が、走りの細かな差に表れたと分析していますが、逆をいえば細かいパーツひとつで違いが解る「優れたシャシ」といえるかもしれません、

 ちなみにより先代にも設定されたタフ&ラギットな内外装でアウトドア志向の「エクストリーマーX」やスポーティなスタイルが特徴の「NISMO(パーツ)」も設定されています。

【画像】タフ顔SUV日本初公開! 全面刷新した「エクストレイル」の内外装を実車で見る!(55枚)

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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