丸型ハンドルは譲れない!? 日産の新型軽EV「サクラ」がこだわった3つの“軽らしさ”とは
「軽の自主規制」も規格内でもトルクは規格外!
新型サクラが軽らしい部分のふたつ目はスペックです。
軽の規格は、「全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高2000mm以下、排気量660cc以下」となり、新型サクラも全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mmとサイズは規格内に収まっています。
一方、EVはエンジンを搭載しないため、660cc以下の排気量という規格はどうしたかというと、20kWhのバッテリーの出力を47kW(64馬力)とすることで“軽の自主規制”に合わせました。
なお、このバッテリーの出力はもっと上げられるといいますが、あえてデチューンして搭載。
トルクには自主規制が設けられていないので、軽ターボ車の2倍のスペックとなる195Nmを確保し、モーター制御による素早く力強い走りで、圧倒的に余裕のある動力性能を堪能できます。
軽らしい部分の3つ目は価格です。
新型サクラの価格(消費税込)は233万3100円から294万300円と、軽としては高額ですが、国からの補助金55万円を差し引くと100万円台になり、軽のガソリン車とあまり変わらない価格で購入することができます。
積雪地域のユーザーからは4WDの設定が欲しいという要望もあるそうですが、技術的には可能であるものの、重量増によって航続距離が減ったり、バッテリーの搭載方法や容量を増やすなどの対策を施したりすると価格が跳ね上がってしまうため、2WDで価格を抑えたのも軽として譲れなかった部分だといいます。
EVは価格が高いのがネックだといわれていますが、新型サクラは200万円台を死守。広くEVを普及させるために、戦略的な価格を実現したといえるでしょう。
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新型サクラは早くも話題になっており、7月最初の週末時点で1万8000台の受注を達成するなど好調な滑り出しを見せています。
購入者の半数は日産車のユーザーですが、他メーカーからの乗り換えも多く、さらにはホンダ「N-BOX」やダイハツ「タント」、スズキ「スペーシア」といったスライドドアを持つスーパーハイトワゴンのユーザーが想定以上に多いと日産はいいます。
また、離島での購入者が多いのも新型サクラの特徴のひとつ。フェリーで海を渡ってガソリンを入れに行く必要があるユーザーにとって、自宅で充電できるEVのほうが利便性が高いというわけです。
新型サクラの航続距離は180kmと登録車のEVと比べると短いのですが、軽はセカンドカーとして使われることが多く、実際、軽自動車やコンパクトカーのユーザーの約8割は1日当たりの走行距離が50km以下であることから日常使いとしては問題ない航続距離だといえます。
そして、新型サクラに興味を持ってショールームに来場した人が、自身の使い方と照らし合わせて航続距離がもっと長いリーフを購入するケースもあるなど、新型サクラの発売によってリーフの販売も伸びているようです。
新型サクラの兄弟車である三菱新型「eKクロス EV」も販売好調とのこと。現時点で日産と三菱以外のメーカーに軽EVは存在しませんが、今後のこの新しいジャンルが日本でどのように発展していくのか、他メーカーの動きも注目されるところです。
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