なぜ「カーナビ」でも「NHK契約」必要? 「テレビだけ」が契約対象じゃない放送法…「嫌なら見るな」は可能なのか

「クルマを買う」=「NHKを受信する意思がある」のか?

 もちろん、放送法で規定されている以上、NHKを受信できる機器を所有している限りは受信料を支払う義務があります。

 NHKも受信料については「自由意思で受信機を設置した人に対して、NHKの放送を含む放送を受信する意思があると認めて放送受信契約をしてもらうというもの」と説明しています。

 ただ、NHKを受信できるカーナビが備わっているクルマを手に入れることが「NHKの放送を含む放送を受信する意思がある」ことを意味するというのは、やや無理があるようにも思います。

 また、そもそも近年のクルマは、フルセグ機能付きのカーナビが標準装備されている場合も多く、ユーザーが本当に「NHKの放送を含む放送を受信する意思がある」かどうかの判断が難しくなっています。

 たしかに、ユーザーはNHKを受信することのできないクルマを選ぶことはできます。

 ただし、その場合、現実的な選択肢として挙げられるのは、カーナビが標準装備されていないクルマやトヨタ「カローラ」のようなディスプレイオーディオが装備されているクルマ、あるいは一部のマツダ車のようにTVチューナーがメーカーオプションとなっているクルマなどを選ぶことになります。

 逆にいえば、高機能なカーナビが標準装備されている国産の高級車やほとんどの輸入車は選ぶことができません。

 またカーナビメーカーの担当者は「現在ラインナップしている多くの商品では、テレビチューナーが付いており、いまや定番機能となっています。そのため、今後のテレビチューナー機能を外すかどうかの対応は慎重に検討していきます」と話しています。

NHKの訪問営業が配布するチラシでは「テレビ・TVチューナー付パソコン・ワンセグ(スマホ)・TVチューナー付カーナビ」はNHKの放送を受信することのできる受信設備とされている
NHKの訪問営業が配布するチラシでは「テレビ・TVチューナー付パソコン・ワンセグ(スマホ)・TVチューナー付カーナビ」はNHKの放送を受信することのできる受信設備とされている

 たしかに、高級車を選ぶような金銭的に余裕のある層であれば、月額2000円程度の受信料は大した負担ではないかもしれません。

 しかし、放送法で規定されているとはいえ、受信料はあくまで自由意志による契約によって支払われるものであり、国民全員が納める義務のある税金とはそもそも性質が異なります。

 現在はまだ顕在化していませんが、「クルマの購入」がすなわち「NHKの放送を含む放送を受信する意思がある」ことを意味するのかについては、今後多方面からの議論が必要になる課題のひとつといえます。

※ ※ ※
 
 エンターテインメントの楽しみ方は時代を追うごとに変化しています。

 それと同時に、クルマの変化も著しいことから、既存の枠組みではおさまらないケースが増えつつあります。

 時代の変化に合わせたスピーディかつ合理的な法整備があらゆる面で求められています。

【画像】もはや「家じゃん」 約50インチカーナビが凄い! 大迫力モニター搭載の実車を見る!(14枚)

参加無料!Amazonギフト券贈呈 自動車DXサミット BYD登壇 最新事例を紹介(外部リンク)

画像ギャラリー

Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

1 2

実績500万人超!お得に車売却(外部リンク)

新車不足で人気沸騰!欲しい車を中古車で探す

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る

【2025年最新】自動車保険満足度ランキング

最新記事

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー