新車系の販売会社がピンチ!? 「売れるクルマが無い」苦境に立たされる自動車ディーラーの今後どうなる?
技術の進歩や進む電動化も逆風に?
販売会社が抱える昨今の問題は、あくまでコロナ禍やウクライナ危機といった近年の偶発的な事象によるものです。しかし、販売会社にはこれまでもさまざまな課題がありました。
まず、少子高齢化が進むことで、日本の新車販売市場が長期的に減少傾向にあるという点です。
加えて、モータリゼーションが進んでいる日本では、クルマが必要な人やクルマを購入できる余裕がある人は、すでにクルマを持っている状態です。
そうしたなかで新車販売を増やすためには、いま現在クルマに乗っている人に買い替えを促すか、あるいは若年層をターゲットにするしかありません。
しかし、少子高齢化が進むこれからの日本では、新車販売市場が爆発的に伸びることは期待できません。
そこで、近年の販売会社は、新車販売に頼らないビジネスを展開してきました。そこで注力してきたのが、既存顧客を主要なターゲットとした整備や車検です。
正規販売店であることの安心感と高い技術力を武器にした結果、現在多くの販売会社で車検や整備はビジネスの柱へと成長しました。
販売店の売上の大部分が、新車販売によるものであることは先ほど説明したとおりですが、利益という点では整備や車検の比率は50%程度にまで高まるといわれています。
つまり、販売会社にとって、ディーラーで整備や車検をおこなってもらえるかどうかは、文字通り死活問題であるということになります。

しかし、技術の進歩によって、クルマはかつてほど故障しなくなりました。さらに、自動ブレーキなどの安全運転支援システムが発達したことで、整備を必要とするような軽微な事故も減少しています。
当然、今後も技術は進歩していくため、今後もこうした傾向は続くことが予想されます。
さらに、世界的に進むクルマの電動化も販売会社にとっては向かい風となります。電気自動車(EV)は、既存のエンジン車にくらべて部品点数が少なく、また販売店でできる整備も限られています。
つまり、クルマが進歩し、電動化が進めば進むほど、既存の販売会社は窮地に立たされるといえます。
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このように、日本の販売会社は、短期的にはコロナ禍やウクライナ危機で、中長期的にはクルマの進化や電動化、そして少子高齢化による人口減少によって大きな影響を受けることは避けられません。
そこで、多くの販売会社では、新たなビジネスを模索したり、デジタル化を推進することによる経費削減を図ったりしています。
ただ、成長市場ではないとはいえ、日本は依然として世界有数の自動車販売市場であり、その一翼を担ってきた販売会社にも非常に多くのノウハウが蓄積されています。
そうしたノウハウをどう活用し、変化の大きい社会へ対応していけるかどうかが今後のカギとなりそうです。
Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明
自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。































































