エンジンを冷やす「冷却水」水道水でも代用OK? 入れたらどうなる?

エンジンルームの「冷却水」は水道水でも代用可能なのでしょうか。

冷却水は水道水でも代用OK!?

 エンジンルームには、緑やピンク色の液体が入っているタンクがあります。

 この液体は専用の「冷却水」と呼ばれ、主にクルマのエンジンの冷やす役目があります。

 エンジンを冷やすだけであれば身近な水道水でも使えそうですが、果たして可能なのでしょうか。

冷却水は水道水で代用可能?(画像はイメージ)
冷却水は水道水で代用可能?(画像はイメージ)

 クルマのエンジンは、内部で燃料を燃焼させ、激しい摩擦運動をするため、高温が発生し、熱が蓄積されていきます。

 そのまま冷却をしないで、エンジンを作動させ続けると、やがてオーバーヒートを引き起こし、エンジンの深刻なダメージや故障する危険性があります。

 そこでエンジンを冷やす働きをするのが冷却水です。

 冷却水は、熱が蓄積されたエンジンを冷やし、ウォーターポンプでラジエーターに送って、そこで熱を放出し、再びエンジンへ戻る循環を繰り返して、エンジンを一定の温度に維持しています。

 このように、冷却水はエンジンを一定の温度に保つために重要な働きをしていることが分かります。では、冷却水は水道水を代用品として用いることは可能なのでしょうか。

 仮に水道水を冷却することだけを考えた場合、物質から多くの熱を奪うことのできる(比熱が大きい)水道水は冷却に対して高い効果があります。

 ただ、エンジンの冷却水に要求される性能は冷却性能だけではなく、耐凍結性、防錆、消泡などが要求されます。

 水道水は0℃以下になると凍結します。凍結すると膨張し、冷却回路に損傷を与える恐れがあります。

 また長期間使用することにより、水道水に含まれる塩素やナトリウム、カルシウムによりラジエーターや冷却回路内が腐食する可能性もあります。

 その一方で、冷却水に用いられている「クーラント液」と呼ばれる液体には、主にエチレングリコール、防錆剤、消泡剤の成分が含まれています。

 それぞれエチレングリコールは凍結防止、防錆剤はラジエータや冷却回路内の腐食を防止、消泡剤はキャビテーションの発生を抑え、冷却効果を高める役割をします。

 このため、緊急時にエンジンの熱を冷やすためやむを得ず代用するのは仕方ありませんが、日常的な使用には適していないといえるでしょう。

※ ※ ※

 エンジンの冷却水にはクーラント液が適していますが、クーラント液の濃度や対応年数など、メンテナンスを怠らないようにして、正しい使用方法を守って使用する必要があります。

 また、一度に大量の冷却水を補充する、または少量でも頻繁に補充する必要がある場合は、冷却回路の漏れなどを点検することも大切といえます。

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2件のコメント

  1. 田舎の生活用水や洗車場とその付近の蛇口は水道じゃなくて井戸水ってこともある。あと、腐食に関してはクーラントを使っていても、雪国じゃ融雪剤(塩化カルシウムまたは岩塩)でラジエーターパイプが腐食で液漏れするほうが心配かな。徐々に漏れるから高速に乗るなら見ていたほうが良い。
    運転前のラジエーター水やオイル量、タイヤ空気圧、亀裂損傷、異物噛み込み、灯火類の点検って実質一部の緑ナンバートラックやバスしかやってないだろうし。マイカーに至っては故障(オーバーヒート)するまで気づかない人も多いだろう。

  2. クーラントを使う理由の一つ、「沸点が水より高い(エチレングリコール100%で沸点197℃)」が抜けています。

    真水の比熱はクーラントのそれと比べて大きいので、冷却効果は水が勝ります。したがって、レースカーに真水が使われることがあります。レースの間の錆の発生は無視できます。沸点は真水の方が低いですが、冷却系の気密をきちんとやれば、加圧下で沸点は十分上昇します。もちろん、レースが終わればクーラントに替えます。

    アメリカにFFを1台持っていて、冷却水交換は自分でやります。水道水で何回か循環させて冷却系を洗い、最後にクーラントと蒸留水を50:50で混ぜて、注入します。サーモスタットを自分で交換したこともあります、エンジンブロックの冷却水の温度の上昇後、弁が開き、液温計が小気味よく急激に下がるのが見られました。
    日本にはMRを1台持っています。これはエア抜きが大変なので車屋さんに出しています。

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