トヨタ「水素エンジン車」市販化を目指す! 「カローラ&カローラクロス」試作車を公開! 液体水素にも挑戦!
液体水素技術は何が課題となるのか
――今回は液体水素の運搬車も展示されています。これはどのような用途になりますか?
今回の車両は一番大きな物で普段は種子島の宇宙ロケット用で使っています。
街の水素ステーションに届ける水素運搬車の倍くらいのイメージですね。
――水素ステーションには液体水素で運搬しているんですか?
液体で運んだ水素を気化させ、ポンプで高圧にして「MIRAI」に充填しています。
車載用の液体水素タンクの技術がモノになれば、液体のまま持ってきた水素をそのまま入れれば良いというわけです。
――給水素をおこなうシステムも展示されていますが、気体の物と比べるとかなりコンパクトサイズになっています。
これはレース専用に開発している物で、かなり薄い設計なのは、ピットのなかに入れようとしているためです。
使うスペースとしては、現在期待で使っている約1/4です。
今回、気体の給水素システムの横に並べたのは、「これだけコンパクトになりますよ」と。これならば、ガソリンと同じようにピットロードで給水素が可能です。
――液体燃料をタンクに入れるクイックチャージャーですが、充填口とリターン側で配管の太さが違います。普通は充填口のほうが太いと思いますが、これはリターン側のほうが太いですよね?
充填口は液体でエネルギー密度が高いのでこの太さで問題ありません。逆にリターン側は気体になるので体積が大きくなるため、より太い配管を使っています。
燃料供給パイプも熱を入れないようしないと気化してしまうので魔法瓶構造となっています。
液体から気体になった瞬間に800倍に膨れ上がりますので、シッカリコントロールしないと。
――液体水素を使うことでとくに難しいことは?
すべてですが(笑)、ガソリン車でいう燃料ポンプの役目となる液化水素ポンプの開発ですね。
ここで燃圧を作ってエンジン側に送ります。液体のままではインジェクターで吹けないので、気化器を使って気体に変換します。
ちなみにこの気化器はエンジンの熱を活用していますが、うまく活用すると「ラジエーター小さくできる?」というような、クルマトータルの熱マネージメントも上手にできるかなと思っています。
――ちなみに燃料タンクの上についている圧力チャンバーは何に使うんでしょうか?
燃料消費量が一気に上がるような状況ではポンプが追従できないので、1回燃料をチャンバーに蓄えて、アクセルの急激な変動に対応しています。
――このボイルオフバルブという部品は?
液体水素はタンク外部からの熱で少しずつ気化していきます。
それを「ボイルオフガス」といいますが、これが増えるとどんどん圧力が高くなってしまうので、逃がす必要があります。
ただ、そのまま出すわけにいきませんので、触媒を通して「水」にして出します。
このように「危ない」という部分に関してはシッカリ手を打っています。ただ、レースカーは全開で走るのでボイルオフは基本的にはありませんが、ピットでの待機用といった感じですね。
――液化水素といえば、古くはBMWも開発をおこなっていましたが、それとの違いは?
彼らのエンジンはポート噴射でしたが、我々は直噴です。
燃圧が高いので液化水素ポンプが必要となります。そういう意味では同じ液化水素ですがコンセプトが違いますね。
――気になる航続距離は? 気体水素のときに対して、どれくらい伸びているんですか?
このサイズで気体水素を使ったときの約2倍といったイメージです。将来的には安全を確認しながらさらに大きなサイズを搭載していきたいですが、まずは走らせようと。
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