続々と登場する新型EV! 今後すべてのクルマがEVに代わるって本当? 「EVシフト」の真実とは

欧州では2035年以降に内燃機関エンジン車の販売禁止!?

 欧州では近い将来、エンジンを搭載したクルマは販売できなくなると思われています。

EVの普及には急速充電器のさらなる設置や出力アップした高速充電対応の急速充電器の普及も欠かせない
EVの普及には急速充電器のさらなる設置や出力アップした高速充電対応の急速充電器の普及も欠かせない

 欧州委員会(EUの執行機関)が2021年に発表した規制案は「2035年以降に発売できる新車は、排出ガスゼロのクルマのみ」、つまり販売できるのはBEV(バッテリーEV)かFCV(水素燃料電池車)だけという規制ができそうだからです。

 しかしBMWとステランティスはこの規制に明確に反対を表明しています。

 BMWのオリバー・ツィプセCEOは、充電インフラの不足、電気自動車の価格の高さを指摘し、さらに燃費の良いICE(内燃機関)を供給することが利益と環境の両方の観点から重要であるとして、ICEの全面販売禁止に反対を唱えています。BMWはバイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ(バイエルン地方のエンジン工場)という社名なのでICEにこだわっている訳ではないでしょうが、客観的な見方をしています。

 ステランティスのカルロス・タバレスCEOは、価格が高くなってしまうBEVを買えない中間層の人たちの移動手段をどうするかについて言及しています。

 ステランティスは14のブランドを持ち、総生産台数が600万台を超える世界第4位の自動車グループですから、安いクルマが作れず売れなくなると死活問題になります。価格が高いBEVが買えない人たちは、排気ガスをたくさん出す昔のクルマを乗り続けることになり、環境は良くならないという訳です。

 規制案に対応して、いち早く動き出しているカーメーカーもたくさんあります。もちろん現在の規制案に反対しているBMWとステランティスも含めて、欧州ではBEVの新型車が続々と登場しています。それが冒頭の欧州車にBEVが増えた理由です。

 欧州だけでなくアメリカでもGMのキャデラックブランドは2029年には100%BEVにすると宣言しました。

 日本でも日産「リーフ」、三菱「iMiEV」というBEVが長年販売されていましたが、近年マツダ「MX-30EV」やホンダ「ホンダe」など新しいBEVも増えてきました。

 2022年に登場するのはトヨタ「bZ4X」、スバル「ソルテラ」、日産「アリア」。そして三菱と日産の軽EVの登場も近そうです。

※ ※ ※

 バッテリーと電気モーターという新しいパワートレインが、環境に優しいクルマとして広まっていくのか、それが正しいことなのかということを考えなくてはならないときです。

 AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)の勉強会で示されたデータでは、日本の半分のクルマがBEVになったら、原子力発電所をあと13基作らなければ電気が足りなくなるということでした。

 BEVを走らせるために石炭を燃やす火力発電所の電気で充電するなら、もっとクリーンなエンジンで走ったほうがよほど環境には優しい訳です。

 もちろん再生可能エネルギーで発電すればいいのですが、電気代が安い夜間電力でBEVに充電するのに太陽光発電は役に立たないわけで、日中に太陽光で発電した電力は大きな電池か水素にして、どこかに溜めておかなければならないのです。

 これからの自動車がすべてBEVかFCVになることは当分ないと考えます。つまり欧州委員会の規制案がそのまま施行されることはないでしょう。

 2022年の日本の夏は電気が足りないといわれています。そんな中でBEVに充電するのは気が引ける、ということにならなければ良いのですが…。

 クリーンガソリン、クリーンディーゼル、HEV、PHEV、BEV、FCVなどから、使用用途に合ったパワートレインを選ぶことができるというのがいまの最適解ではないでしょうか。

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2件のコメント

  1. さっさと原発を再稼働するべきだな。

  2. 無理でしょ。全ての一軒家とアパート、マンション、月極駐車場、社宅に駐車台数の100%。コンビニ、スーパーなどの小売店、道の駅、SA/PAに駐車可能台数の数の50%の充電設備を用意。そして、町村については主要幹線上にゆとりの駐車帯または道の駅を作り、駐車台数の50%に充電設備を用意してもらおう。

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