外環シールド機損傷 原因は「CAD操作ミス」 壁がずれてカッターが接触 「地表面へは影響なし」
NEXCO東日本関東支社と国土交通省関東地方整備局は、外環道(関越~東名)の工事現場でシールドマシンが損傷した件について、経緯や原因、今後の対応などを発表しました。
硬質ウレタンの部分を掘るはずだったが…
2022年4月に外環道の建設現場でトンネルを掘るシールドマシンが損傷したことを巡り、NEXCO東日本関東支社と国土交通省関東地方整備局は4月28日、原因は、図面作成時のCAD(コンピュータ上での製図・設計)操作のミスだったことを明らかにしました。
事故は4月7日に発生。直径16mほどのシールドマシンが外環道(関越~東名)の事業用地内で、大泉JCT(東京都練馬区)のランプと本線トンネルが合流する区間を掘り進めていたところ、マシン前面のカッターが鋼材に接触し、カッタービットと攪拌翼(土を攪拌する部品)が損傷しました。
現在、シールドマシンは停止中です。
本来、シールドマシンは、止水用にあらかじめ設置していた地中壁のうち、円形の硬質ウレタン部分を切削して進む段取りになっていましたが、地中壁の位置が設計値よりも下に約90cm、水平方向に約10cmずれていたことが判明しています。
つまり、硬質ウレタン部分とシールドマシンの位置がぴったり合っておらず、そのためカッターが周囲の鋼材に接触したということです。ちなみにシールドマシンは、設計値の中心の位置通りに掘削していたといいます。
これにより、カッターの外周から約90cm部分にあるカッタービット222か所のうち、約3割にあたる76か所で損傷が確認されました。
また、攪拌翼については、さらに土砂を取り除く必要があるため、確認までに3か月程度の期間を要するといいます。
では、なぜ地中壁の位置がずれていたのでしょうか――。
NEXCO東日本関東支社と国土交通省関東地方整備局によると、地中壁の図面を作成する過程で、受注者によるCAD操作上のミスにより本来の設計値からずれが生じ、誤りに気付かないまま施工されたということです。
シールドマシンの補修は、現時点では半年程度かかる見込みといいます。
今回のような硬質ウレタン製地中壁は、外環道(関越~東名)の現場で13か所が計画されており、このうち着手されている7か所については、壁とトンネルの位置に誤りがないことを確認しているとのこと。そして今後施工する6か所についても同様に確認していくということです。
なお、掘進区間周辺の地表面への影響はないとしています。
※ ※ ※
外環道の工事を巡っては、2020年10月、東京都調布市のトンネル掘削現場の地表で陥没が発生して工事がストップしていました。
この場所では現在もシールドマシンが停止している一方、大泉側では2022年2月から掘進を再開していましたが、今回、再度の停止となっています。
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