SUV多すぎない!? 「重い電池」逆にメリット? 続々登場の最新EVが「SUVタイプ」を採用する訳とは
日産「アリア」やトヨタが「bZ4X」など魅力的なEVが登場したほか、家電メーカーのソニーもEV参入を公表しました。近年登場するEVの多くがSUVとなっていますが、なぜSUVばかりなのでしょうか。
SUVならバッテリーの重さが逆にメリットになる!?
世界的に脱炭素への流れが加速するなか、自動車を取り巻く環境も決して例外ではありません。これまでのガソリンや軽油といった化石燃料を燃やして走るクルマから、二酸化炭素を排出しないクリーンなクルマへとシフトしています。
ゼロエミッション車においては、水素やアンモニアなどの代替燃料の実用化も進められていますが、現段階ではやはりモーターとバッテリーを搭載する電気自動車(EV)が本命でしょう。
メルセデス・ベンツやボルボといった海外メーカーが2030年までに全車EV化を宣言し、ジャガーにいたっては3年後の2025年までにピュアEVだけのブランドに転換すると発表しています。
日本では、2021年12月にトヨタがEV戦略について発表。2030年までに30車種のEVを展開し、グローバル販売台数で年間350万台を目指すことを明らかにしました。
あわせてコンセプトカーながら、トヨタ・レクサスブランドのEVを16台も披露。さらにそのなかから、トヨタ「bZ4X」とレクサス「RZ」がいよいよ登場します。
急激に進むEV化のなかで、すでに発売されている、あるいはこれから発売予定のモデルをあらためて見返すと、あることに気が付きます。それは、SUVが多いということです。
たとえばメルセデス・ベンツのEVは現在2車種で、「EQA」と「EQC」と双方ともSUVです。ジャガーのEVはSUVの「Iペース」、スポーツカーメーカーのロータスが新たに追加するEVとして発表したのもSUVの「エレトレ」でした。
いくら昨今がSUVブームとはいえ、ちょっと尋常ではないレベルといえるでしょう。これほどまでにEVにSUVが多いのはなぜなのでしょうか。
それはSUVとEVの相性が良いからほかなりません。というのも、EVには大きくて重いバッテリーが必須ですが、SUVには大型重量物を積むことによるデメリットがほかのカテゴリーのクルマほどないからです。
例えば、バッテリーはフロア下に設置されることが一般的ですが、全高が高いSUVにとっては重心が下がるというメリットになります。
EVではありませんが、かつて三菱「アウトランダー PHEV」が登場したときに「ガソリンエンジン搭載モデルよりハンドリングが良い」と評価されたのも同様の理由からです。
もちろんセダンやハッチバックでも重心は下がりますが、もともと低重心ゆえSUVほどの恩恵はなく、重量増のデメリットのほうが目立ってしまいます。
ミニバンもまた低重心化のメリットが大きいジャンルです。しかし、居住性、積載性が魅力のミニバンにおいて、スペースを要するバッテリーはマイナスの存在でもあります。
その点でもミニバンほどスペース効率がさほど重視されないSUVは、EVに向いているといえるでしょう。
バッテリー以外の要素では、電気モーターの出力・トルク特性もまたSUVにマッチしているといえそうです。
ガソリンエンジンはある程度の回転数に至って最高出力、最大トルクに達します。一方、モーターは最初から最大トルクを発生し、それをアクセルワークで調整して走ります。
SUVが得意とする悪路では、とくに発進において微妙な駆動力のさじ加減が大切で、トルク変動のあるエンジンとトルクが一定のモーターのどちらが扱いやすいかは明らかでしょう。
また、プロペラシャフト不要で前後輪にモーターを備えるだけで4WD化できるのもSUVにはメリット。従来の機械式4WDより4輪の駆動力を緻密に制御できます。
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バッテリーの高効率化や小型・軽量化は研究開発が進められ、今ではずいぶんコンパクトになりました。
しかしそれでもまだ大きくて重いため、車体設計における制限になってしまっており、それはもちろんSUVにもあてはまります。
どんなにメリットを挙げても、あくまでもほかのカテゴリーのモデルよりデメリットの及ぼす影響が小さいということに過ぎません。
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