どうしてタイヤの値段は同じサイズでもピンキリなの? 後悔しない夏タイヤの選び方とは?
なぜ転がり抵抗とウエットグリップの両方が良い性能のタイヤは高価なのか
転がり抵抗係数はAAA、AA、A、B、Cの5段階、ウエットグリップ性能はa、b、c、dの4段階で表します。
このうち、転がり抵抗性能の等級がA以上で、ウエットグリップ性能の等級がaからdの範囲内にあるタイヤを「低燃費タイヤ」と定義し、統一マークを表記して低燃費タイヤの普及促進を図っています。
これはJATMA(日本自動車タイヤ協会)が2010年1月から開始したもので、日本ブランドのタイヤはこれに則って表示しています。またミシュラン、グッドイヤー、ハンコック、クムホ、ピレリ、ネクセン、マキシスなども、日本で販売するタイヤはこのラベリングを実施しています。
欧州でのタイヤラベリングは、燃費(転がり抵抗)、ウエットグリップ性能に加えて、車外騒音に関する情報を表示する制度で2012年に導入されています。
さらにタイヤラベルを消費者が見やすく、理解を深めた上で購入できるように2021年5月1日から新しいラベリング制度が導入されています。これは「燃費」と「ウエットグリップ性能」のクラス分けが新たに構成され、それぞれがA、B、C、D、Eの5つのグレードで表示され、車外騒音はdB(デシベル)の数字に加え、A、B、Cの3つのグレードでわかりやすく表示されるようになりました。
欧州タイヤラベリングにおける燃費「C」は、JATMAラベリングのおおよそ「A」に相当するといわれています。
ただし、このラベリング制度をユーザーがもっとわかりやすくするためには、ラベリング制度の表示方法自体を世界共通化してほしいと考えます。
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転がり抵抗とウエットグリップ性能の二律背反をいかに両立させるか、さらに両方の性能を引き上げるかという技術競争になっています。同じメーカーのタイヤでも、転がり抵抗とウエットグリップの両方が良い性能のタイヤもあります。
技術的には達成できるのですから、その技術を全部のタイヤに使えばいいのにと思うかもしれません。そこにはコストというネックがあります。両方良い性能のタイヤの価格が高いことでわかります。
トレッドゴムの中にシリカ(珪素)を混ぜると転がり抵抗とウエットグリップの両方が良くなります。シリカをたくさん混ぜることができればどんどん両方の性能が良くなるそうです。ただしその代償としてコストが上昇、結果的に販売価格が上昇してしまうというわけです。
価格の高いタイヤには、それなりに意味があるわけです。
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