新型コロナ禍はカーライフへどう影響? 車の利用目的や保有年数に変化 詳細調査で浮き彫りになった実情とは
クルマの維持費を負担に感じる人が増加
次に時系列調査の内容を見てみましょう。
乗用車の保有状況ですが、世帯全体に占める保有率は2021年度が78%で、2019年の先回調査の80%から若干ですが減少しています。
自工会が示した図表では、2003年から2年毎の数値が示されましたが、2003年から2021年まで80%前後をいったりきたりという状況が続いています。
2021年度の保有率78%を属性別で見てみると、地方圏は82%で、年収第5分位(880万円以上)では89%となります。
また、結婚して家族ができる家族形成期の保有率は81%、子どもが育ち始める家族成長前期では91%と高くなり、家族成長後期では86%、そして子どもが巣立っていく家族成熟期でも86%を維持するという推移を示しています。
こうした属性による違いは、2013年、2015年、2017年、2019年という過去データと大きな変化はないようも思えます。
また、車系別の保有割合(購入時期が新しい順1台目+2台目)では、軽自動車の割合が2015年は35%、2017年は37%、2019年は38%、2021年は34%となっています。
主な運転者の性別では、2021年度は男性が53%(うち未婚は9%)で、女性が47%(うち未婚は9%)で、こうした男女比は2015年調査から大きくは変わっていませんでした。
ただし、主な運転者の年齢でみると、2021年度は60歳以上の高齢層が39%となり、2015年の34%、2017年の34%、2019年の32%と比べて伸びているのが特徴です。
主な運転者の主な使用の用途では、の2021年度は買い物・用足しが42%ともっとも多く、ついで通勤通学が31%、仕事・商用が14%、そしてレジャーは14%にとどまります。
そして、クルマの維持費負担については、「負担感が大きい」が12%、また「どちらかといえば大きい」が45%となり、2015年からの過去3回と比べると今回がもっとも高くなりました。
新型コロナ禍で仕事が減ったり、残業代が減るなどして世帯収入が減少した影響が出ているのかもしれません。
購入状況を見ると、直近2年以内の購入者では、概ね同タイプや同クラスから買い替えが多いのですが、特徴的なのは小型で昨今のSUVブームによってSUVの比率が2019年度の22%から一気に50%へ増えています。
保有年数については、2021年度は平均7.1年ですが、10年以上が24%となり、2013年度からの過去データのなかでもっとも高くなりました。
前述のように新型コロナ禍による収入の減少や、昨今の半導体や部品不足による新車の納期遅れにより、新しくクルマを購入するのではなく、いま所有しているクルマを長く乗ろうと考える人が増えたことが考えられます。
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いずれにしても、今回の調査内容を見る限り、新型コロナ禍の影響によりユーザーの新車購入や自家用車の使い方について、明らかに変化が生じたことは間違いなさそうです。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。
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