「昭和の集大成」は永遠に不滅です! 今なお魅力あふれる珠玉の王道FRスポーツカー3選
近年、世界的に注目を集めているクルマが、ネオクラシック世代の国産スポーツカーです。とくに1980年代の終わりには、数々の名車が誕生しました。そこで、昭和の集大成というべき王道のFRスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。
昭和の終わり頃に発売された王道FRスポーツカーを振り返る
毎年、各メーカーから魅力的な新型車が発売されていますが、古い世代のクルマにも注目が集まっており、ひとつのムーブメントにまで発展しています。
なかでも1980年代から1990年代にかけて発売された「ネオクラシックカー」と呼ばれるクルマは、もはや手軽に買うことができないほど価格が高騰する人気ぶりです。
ネオクラシックカーはあらゆる性能面で最新モデルにかないませんが、今のクルマでは失われた魅力があり、それを懐かしむ人たちを中心に支持されています。
とくに何世代も前の日本製スポーツカーは世界的にも人気が高く、ネオクラシック人気を支えている存在といえるでしょう。
そこで、昭和の集大成というべき王道のFRスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●マツダ「FC3S型 サバンナRX-7」
マツダは1967年に、世界初の量産ロータリーエンジン車でピュアスポーツカーでもある「コスモスポーツ」を発売。その後は一気にロータリーエンジン搭載車の拡大が始まりました。
そして1978年には、コスモスポーツの正統な後継車ともいうべき「SA22C型 サバンナRX-7」が誕生。
初代サバンナRX-7は改良が進められターボ化するなど、さらに高性能化を果たしましたが、旧来のシャシを捨て、1985年に次世代のピュアスポーツカーとしてFC3S型 サバンナRX-7が登場しました。
FC3S型 はグローバルで通用するスポーツカーとは何かということをゼロから見つめ直し、未来へ通じる新しいスポーツカーを創造するというコンセプトで開発されました。
外観はロングノーズの先端に初代と同じくリトラクタブルヘッドライトを採用した、ウェッジシェイプの3ドアハッチバッククーペで、よりワイドな偏平タイヤを収めるブリスターフェンダーを採用して迫力あるスタイルを実現。
エンジンは654cc×2ローターの「13B型」ロータリーエンジンに、ツインスクロールターボチャージャーと空冷式インタークーラーを装着し、最高出力185馬力を発揮。これはレシプロエンジンの2リッターターボに匹敵しました。
同時にエンジンは先代同様フロントミッドシップに搭載され、前後重量配分はFRスポーツカーとしては理想的な50.5:49.5を達成し、足まわりではフロントにストラット、リアに4輪操舵技術を応用した「トー・コントロール・ハブ」を装備したラテラルロッド付のセミトレーリングアームを採用し、コーナリング性能も飛躍的に向上しました。
その後1986年に、より走りに特化した特別仕様車の「∞(アンフィニ)」を限定販売。室内はシリーズ初の2シーターで、BBS製の鍛造アルミホイール、専用ダンパー、アルミ製ボンネットフードなどを装備していました。
また1987年には、ロータリーエンジン車販売20周年を記念して高性能なオープンカー「RX-7 カブリオレ」が加わりました。ルーフはそのときの気分に応じて、フルオープン、タルガトップ、クローズドから選ぶことができる斬新な仕様でした。
進化の歩みも止まらず、1989年のマイナーチェンジでは、エンジンの圧縮比を高め、ターボチャージャーの改良をおこない、最高出力は205馬力に向上し、アンフィニではではさらにチューニングされたことで最高出力215馬力を発揮。
そして1991年に、究極の進化系ロータリースポーツカーともいうべきアンフィニ「RX-7」にスイッチされました。
●トヨタ「A70型 スープラ」
トヨタは1978年に、初代「セリカXX」(輸出名:スープラ)を発売。2代目「セリカ リフトバック」と主要なコンポーネンツを共有する上位車種で、2.6リッター直列6気筒エンジンを搭載するなどラグジュアリーなGTカーというコンセプトでした。
そして1981年には直線基調のボディに一新された2代目へとフルモデルチェンジ。トップグレードには「ソアラ」と同じ最高出力170馬力(グロス)を発揮する2.8リッター直列6気筒DOHC「5M-GEU型」エンジンを搭載して、一気に高性能化を果たすと同時に、コンセプトもハイエンドなスポーツカーへと変わりました。
しかし、最大のライバルである日産「フェアレディZ」に対してパワー面で劣っていたことから、1986年にはセリカXXから輸出名と同じ「スープラ」に車名変更を伴うフルモデルチェンジを敢行。
スタイリングは直列6エンジンを格納するロングノーズかつウェッジシェイプの3ドアハッチバッククーペを継承しつつ、高性能なGTカーというイメージを前面に押し出していました。
エンジンはトップグレードの「3.0GT」に最高出力230馬力(ネット)を発揮する3リッター直列6気筒DOHCターボの「7M-GTEU型」が搭載され、4種類の直列6気筒を設定。
また、足まわりではトヨタ「2000GT」以来となる4輪ダブルウィッシュボーンを採用し、運動性能の向上が図られていました。
その後、1987年には海外仕様と同じブリスターフェンダーを採用したワイドボディの「3.0GTターボ リミテッド」が加わり、1990年には最高出力280馬力に到達した「2.5GTツインターボ」が登場するなど進化を続け、1993年に次世代の「A80型」にバトンタッチしました。
●日産「S13型 シルビア」
バブル景気が絶頂期を迎える直前の1988年に、日産は5代目となる「S13型 シルビア」を発売。デザインは4代目までの直線基調から曲面を多用した流麗なフォルムに変わり、ボディタイプは3ドアハッチバックを廃止して2ドアクーペのみになりました。
外観では前後に横長のライトを採用し、とくに異形4灯式ヘッドライトに加え当時普及が始まったプロジェクターヘッドライトを設定するなど、グリルレスのガーニッシュと相まって精悍なフロントフェイスとなっていました。
また、サイドビューは低いボンネットから後端まで続く直線的なウエストラインと小ぶりなキャビンによって、美しく妖艶なフォルムを実現。
内装も外装と共通の世界観でデザインされており、シートやインパネは極力直線を排除して曲面を多用したやわらかな印象でした。
グレードは「K’s/Q’s/J’s」とトランプのキング/クイーン/ジャックになぞられ、トップグレードのK’sには最高出力175馬力を誇る1.8リッター直列4気筒DOHCターボ「CA18DET型」が搭載されました。
足まわりは4代目から大きく進化し、フロントにストラット、リアがマルチリンクで、4輪操舵の「HICAS-II」装着車を設定し、優れた路面追従性と運動性能を発揮するなど、パワフルなエンジンと相まって美しい外観にふさわしい走りも獲得していました。
なお、5代目では販売チャネル違いの姉妹車「ガゼール」が設定されませんでしたが、1989年には3ドアハッチバッククーペでリトラクタブルヘッドライトの「180SX」が加わりました。
その後、1991年にはエンジンが次世代型の「SR20型」に換装され、K’sでは最高出力205馬力まで向上し、1993年にS14型へとフルモデルチェンジ。1999年発売のS15型をもってシルビアは長い歴史に幕を下ろしました。
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最後に紹介したシルビアと同時期には「レパード」「スカイライン」、フェアレディZ、そして180SXと、驚くべきことに日産は5車種ものスポーティなFRクーペをラインナップしていたことになります。
今では考えられないことですが、それほどまでにFRクーペの需要があったという証でしょう。
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