一見すると高性能車じゃないけど意外な実力アリ!? 隠れスポーティカー3選
生粋のスポーツカーは見た目にも速そうなデザインのボディで、誰もが高性能車と認識できます。一方、パッと見は普通のクルマながら、意外な実力を持ったクルマも存在。そこで、隠れスポーティカーを、3車種ピックアップして紹介します。
見た目ではわからない意外なスポーティカーを振り返る
高性能車の代表的な存在といえばスポーツカーやスーパーカーですが、見た目にも速そうなシャープなフォルムのデザインを採用しており、誰もがその高性能さを想像できます。
また、セダンやコンパクトカーをベースにした高性能車も、派手なエアロパーツなどによって、見た目から性能を誇示しているケースが多いといえます。
「このクルマは速いんだぞ!」と主張しているほうが、所有する喜びを感じやすいとすれば、正しい演出方法です。
一方で、パッと見はスポーティなモデルではないのに、ジツは意外なほどの実力を持っているクルマもあります。
そこで、爪を隠したような隠れスポーティカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●三菱「タウンボックス RX」
近年、日本の自動車市場でベストセラーといえば軽自動車ですが、もっとも人気を集めているのが軽ハイトワゴン/トールワゴンです。
この軽ハイトワゴン/トールワゴンが登場する以前は、背の高い軽ワゴンというとワンボックスバンをベースにしたキャブオーバー型のモデルで、広い室内空間を有することから使い勝手が良く、各メーカーから販売されていました。
このワンボックスワゴンにも、余裕ある走りのためにターボエンジン車が数多く存在しましたが、とんでもなくハイスペックだったのが1999年に発売された三菱「タウンボックス RX」です。
ボディは商用バンの「ミニキャブバン」をベースにしたオーソドックスなスタイルでしたが、トップグレードのRXには、最高出力64馬力を発揮する660cc直列4気筒ターボ「4A30型」エンジンを搭載。
パワー的には自主規制値いっぱいと珍しくありませんが、この4A30型エンジンは1気筒あたり吸気バルブが3本、排気バルブが2本の5バルブを採用した精密なメカニズムのエンジンです。
しかも軽自動車で4気筒エンジンというのも現在は見られなくなった仕様で、ワンボックスワゴンに搭載した例はかなりのレアケースです。
当時、三菱は4A30型5バルブエンジンが唯一の高性能エンジンであり、「ミニカ」や「トッポBJ」、「パジェロミニ」にも搭載していたことから、タウンボックスへの搭載も自然な流れだったといえます。
その後、2002年のマイナーチェンジで3気筒SOHC4バルブターボに換装されたことから、前期型のタウンボックス RXは、今ではかなり貴重な存在です。
●ホンダ「パートナー」
2021年4月にホンダの軽トラック「アクティ トラック」が生産を終了し、同社の現行ラインナップで商用車は軽バンの「N-VAN」のみとなってしまいました。
しかし、かつては「シビック バン」や「シティ PRO」「シビック PRO」など複数のライトバンを展開しており、1996年にはシビック PROに代わって初代「パートナー」が登場。
パートナーはステーションワゴンの「オルティア」をベースに開発され、外観はオルティアに準じているものの、無塗装で素地の樹脂バンパーや、リアゲートの加飾を省略するなど、ライトバンでは定番のコストダウンが図られていました。
エンジンは1.3リッター、1.5リッター、4WD専用の1.6リッターと3タイプの直列4気筒エンジンが設定され、トランスミッションは5速MTと一部グレードを除き4速ATが選択できるなど、これも他のライトバンと大きな違いはありません。
一方で、パートナーが一般的なライトバンと大きく異なっていたのがサスペンションで、ライトバンでありながら4輪ダブルウイッシュボーンを採用していました。
ダブルウイッシュボーンは路面の追従性や走行安定性に優れたサスペンション型式で、通常は高性能車に多く見られます。
当時のホンダ車はダブルウイッシュボーンを広く採用しており、オルティアは6代目シビックのプラットフォームを流用していたことで、パートナーも必然的に4輪ダブルウイッシュボーンだったというわけです。
また、この優れた足まわりに加え、簡素な装備から1.5リッターの5速MT車で車重1040kgと軽量なのも、パートナーの走りの実力の高さがうかがえます。
その後、2006年にステーションワゴンの「エアウェイブ」をベースとした2代目パートナーが登場すると、サスペンションはフロントがストラット、リアが車軸式となり、本来のライトバンの姿となりました。
●日産「ティーダ 18G」
かつて日産の小型車の主力車種は「サニー」と「パルサー」が担っていましたが、2004年にルノー×日産アライアンスのもと、次世代型の小型車として「ティーダ」が発売されました。
ティーダはプレミアムなコンパクトカーというコンセプトで、「マーチ」やルノーのモデルとプラットフォームを共有して開発されたグローバルカーです。
外観は当時の日産が展開していたデザインに共通するフロントフェイスに、各部にエッジを効かせたプレスラインを配置したボディで、当初は5ドアハッチバックのみでしたが、後に4ドアセダンの派生車「ティーダラティオ」が加わりました。
搭載されたエンジンは最高出力109馬力の1.5リッター直列4気筒DOHCで、トランスミッションは2WDがCVT、4WDは4速ATを設定。
ティーダのパフォーマンスは同クラスでも平凡なものでしたが、2005年に1.8リッターエンジン車「18G」を追加。さらに2008年のマイナーチェンジでは、18Gに6速MTが設定されました。
18Gの最高出力は128馬力と決してパワフルではありませんが、1.1トンほどの軽量な車体と6速MTは大いに魅力的な組み合わせでした。
その後、ティーダは改良を繰り返しましたがヒットには恵まれず、2012年に2代目「ノート」と統合され、一代限りで国内向けの生産を終了しました。
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現行ラインナップでも意外とスポーティなモデルはあり、例えばスズキ「スイフト RS」は最高出力91馬力の1.2リッター直列4気筒を搭載し、トランスミッションは5速MTとCVTが設定されています。
パワーはそれほどではありませんが、わずか870kg(MT車)の軽量な車体にサスペンションは欧州仕様に準じたチューニングで、4輪ディスクブレーキが装着されるなど、シャシ性能が高められているのが特徴です。
こうしたモデルはドライビングプレジャーに優れていますが、残念ながらほとんど残っておらず、今やレアなモデルになってしまいました。
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