日産「GT-R」は商談再開せず絶版か? 騒音規制クリアは絶望的!? 純ガソリンスポーツカーの運命は?

現在、新規の商談を中断している日産「GT-R」ですが、このまま絶版となる可能性が高いようです。日産が誇るスーパースポーツはどうなってしまうのでしょうか。

厳しい騒音規制によりガソリンエンジン搭載のスポーツカーが全滅する!?

 日産のスーパースポーツ「GT-R」のホームページを見ると「2022年モデルのGT-Rは新規の商談並びに御注文の受付を停止させていただいております」と表示されています(2022年3月28日現在)。

 多くの人は、遠からずGT-Rの商談が開始になると期待しているようだけれど、このまま絶版になってしまう可能性が大きいようです。

日産「GT-R」を新車で購入することはできないのか?
日産「GT-R」を新車で購入することはできないのか?

 それはなぜか? 2022年秋から始まる厳しい騒音規制が、どうやってもGT-Rはクリアできないからです。

 2020年10月から新型車を対象に始まっている騒音規制「フェーズ2」は2022年10月からは継続販売車までが適用対象となります。つまり、現在販売しているクルマでもフェーズ2をクリアできなければ9月までしか登録できなくなるということになります。

 GT-Rもさまざまな対応をしようと頑張ったようだけれど、2020年時点で「相当のコストを掛けない限り不可能」と判断されたようです。

 当時、GT-Rの開発を担当していた田村宏志さんにこの件について聞いたところ、次のようにいっていました。

「タイヤの騒音すら対応が難しいくらいで2022年10月以降の販売は難しいかもしれません。確実に入手しようと思ったら2021年秋くらいまでにオーダー入れてください」

 GT-Rの生産ラインを増やすわけにもいかず、かといってタイヤを含めた性能を引き下げこともできません。

 騒音対応をしている車種はほかにも多く、トヨタ「スープラ」の場合、フェーズ2クリアを前提に開発されており、初期モデルは対応しないで良かったため賑やかですが、2020年10月の一部改良後のモデルから全般的に静粛性を改善させてきました。

 また、トヨタ「GRヤリス」に乗ると、普通に走っている限りは普通の乗用車と同じくらい静か。「面白くない!」と文句をいう人もいるようだけれど、法規対応のため仕方ない。

 はたまた、トヨタ新型「GR86」やスバル新型「BRZ」のように、車外の騒音を大きく下げた代わりに、車内スピーカーを使って音を出すサウンドクリエーターを採用するモデルも増えている。

 いずれにしろ2022年10月以降に販売される新車に関していえば、タイヤの走行音を含めた車外騒音が格段に静かとなると考えて良いです。つまらないと思う反面、騒音は自己満足であると同時に単なる迷惑だとも考えます。

 GT-Rに話を戻すと、現在受注済みの台数については残業上等で生産すると思います。受注再開するかと聞かれたら「可能性は残っているものの難しいでしょう」と答えておく。

 というのも受注再開したらすぐ契約するという「スタンバイ客」も相当数いるからです。

 だからこそ「新規の商談もしない」とホームページに書かれているのです。かといってフェーズ2のクリアも無理でしょう。

 そんなことからGT-Rにプレミアが付くことは間違いなし。いや、すでに中古車相場は上昇傾向。もはや新車の倍近い値が付いている売り物だって珍しくない。

 私(国沢光宏)なら瞬時も迷うことなくポルシェ「911」の新車を買うと思うほど高騰しています。それだけGT-Rのファンが多いということなんでしょう。

 ちなみに、評価が低い2010年以前のモデルなら買える相場展開ながら、それすら上がるかもしれません。

※ ※ ※

 今後予定されている「フェーズ3」の騒音規制(2022年10月発効の予定)は極端に厳しく「エンジン搭載車だと無理」といわれています。

 タイヤ騒音についていえば「騒音を計測する側」だけでなく、向こう側のタイヤから出る音すら厳しいレベルのよう。

 なお、継続生産車への適用は2026年になり、そうなるとエンジン搭載のスポーツモデルは全滅すると私は理解しています。

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Writer: 国沢光宏

Yahooで検索すると最初に出てくる自動車評論家。新車レポートから上手な維持管理の方法まで、自動車関連を全てカバー。ベストカー、カートップ、エンジンなど自動車雑誌への寄稿や、ネットメディアを中心に活動をしている。2010年タイ国ラリー選手権シリーズチャンピオン。

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