エレガントなスタイルじゃなくてもカッコイイ! かなりイケてた昭和のハッチバッククーペ3選

2000年代以降、日本の自動車市場では比較的安価な3ドアハッチバッククーペが激減してしまいました。一方、昭和の時代には3ドアハッチバッククーペはパーソナルカーとして人気があり、ラインナップも豊富でした。そこで、1970年代の終わりから1980年代の初頭にかけて発売されたスタイリッシュなデザインのハッチバッククーペを、3車種ピックアップして紹介します。

大衆車としてラインナップされたイケてるハッチバッククーペを振り返る

 近年、ニーズの変化から国内のラインナップから激減してしまったクルマのひとつがクーペです。とくに3ドアハッチバッククーペは高額なスポーツカーでは生き残っていますが、比較的安価なモデルは絶滅してしまいました。

昭和の時代に登場したスタイリッシュな3ドアハッチバッククーペたち
昭和の時代に登場したスタイリッシュな3ドアハッチバッククーペたち

 一方、昭和の時代には3ドアハッチバッククーペというと若者を中心に人気を集め、隆盛を極めていました。

 なかでも人気だったのがいわゆる大衆車に属していたモデルで、手頃な価格だったのも人気の理由でした。

 しかし、平成になるとクーペは使い勝手の面で人気が下落し、2000年代には激減して現在に至ります。

 そこで、1970年代の終わりから1980年代の初頭にかけて発売された安価でスタイリッシュなデザインの3ドアハッチバッククーペを、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「カローラ クーペ」

直線基調のカクカクボディがシャープな印象の4代目「カローラ クーペ」

 トヨタは1966年11月に、新世代の大衆車として初代「カローラ」を発売。ボディは2ドアセダンを基本に、4ドアセダン、2ドアクーペ、ライトバンなど、多彩なボディタイプを展開しさまざまなニーズに対応しました。

 その後、代を重ねても豊富なボディラインナップは受け継がれ、1979年発売の4代目では、2ドアセダン、4ドアセダン、2ドアクーペ、3ドアハッチバック、ロングルーフで「リフトバック」と呼ばれた3ドアハッチバック、2ドアと3ドアのバンと、合計7タイプものボディが設定され、どれもデザインは当時の流行の直線基調を採用。

 なかでも「カローラ クーペ」と呼称された3ドアハッチバッククーペはシリーズ初で、リフトバックとは異なり、よりスポーティなシャープさが特徴でした。

 クーペのエンジンは1.3リッターと1.5リッター直列4気筒OHV、そしてクーペのみラインナップされた「レビン」(他のボディタイプでは「GT」)では最高出力115馬力(グロス、以下同様)を発揮する1.6リッター直列4気筒DOHCを搭載。

 また、レビン以外にもスポーティなグレードとして「SR」があり、レビンと同様にギヤ比が16:1のクイックステアリングやハードサスペンション、ラジアルタイヤなどが標準装備されていました。

 そして1983年にレビン(AE86/85型)以外がFF化した5代目カローラが登場すると、3ドアハッチバックはレビンのみの設定となり、さらに次世代のAE92型レビン以降は2ドアクーペのみとなりました。

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●日産「サニー クーペ」

大衆車ベースながら伸びやかなフォルムがスポーティさを主張する4代目「サニー クーペ」

 日産は初代カローラより半年ほど早い1966年4月に、「ブルーバード」に代わるエントリーモデルである初代(ダットサン)「サニー」を発売しました。

 その後、サニーは日産を代表する大衆車として、日本のモータリゼーションを一気に推し進めた存在となりました。

 そして、オイルショックによる省燃費車への関心が高まっていた1977年には、4代目(310型)が登場。

 外観は2代目サニーに回帰したような直線基調でシャープなデザインを採用し、ボディバリエーションは2ドアセダン、4ドアセダン、3ドアハッチバッククーペ、2ドアと4ドアのバンが用意され、1979年にはステーションワゴンの「サニーカリフォルニア」が加わりました。

 4代目サニーには初代用に開発された直列4気筒OHV「A型」エンジンの改良型を搭載。1.2リッターと1.4リッターの設定で、1978年には環境性能を高めたEGI(電子制御燃料噴射)の最高出力80馬力の1.4リッター「A14E型」が上位グレードに搭載され、リアを駆動。

 さらに1980年には1.2リッターエンジンは1.3リッターへ、1.4リッターは92馬力を発揮する1.5リッターへ排気量を拡大しました。

 サスペンションはフロントがストラット、リアがコイルスプリングの4リンクリジットアクスルで、3代目までのリアのリーフスプリングからコイルスプリングへと進化。

 ラインナップのなかでも3ドアハッチバッククーペはスタイリッシュなフォルムで、大型で三角形のリアサイドウインドウと傾斜したCピラーによってスピード感をイメージさせ若者を中心に人気を獲得。

 このモデルをベースにしたマシンがツーリングカーレースで活躍したことも、若者への訴求に繋がりました。

  そして、1981年に5代目のB11型が登場。時代の流れからFF化され、エンジンも近代的なSOHCにスイッチしました。

●三菱「コルディア」

当初からターボエンジンをラインナップし、先進的な技術も採用していた「コルディア」

 三菱は1978年に、同社初のFF車となった初代「ミラージュ」を発売しました。洗練されたデザインのコンパクトなボディに、クラス初のターボエンジンをラインナップするなど、三菱のエントリーカーとしてヒット作となりました。

 そして、1982年にはミラージュより1クラス上の車格のFF車「トレディア」と「コルディア」が誕生。

 トレディアとコルディアはプラットフォームを共有する兄弟車でしたが、トレディアが4ドアセダン、コルディアが3ドアハッチバッククーペと、異なる車種として展開されました。

 両車とも直線基調のデザインですが、コルディアは同じく3ドアハッチバッククーペの「スタリオン」よりも長めのルーフとFFの恩恵により、広い室内空間を確保しつつスタイリッシュなフォルムを実現。

 エンジンは国内では初の1.6リッター直列4気筒SOHCターボに加え1.6リッターと1.8リッターの自然吸気を設定し、1.6リッターターボは最高出力115馬力を誇りました。

 また、ターボモデルのボンネットにエアスクープが装着されるなど、見た目にもスポーティさを表現していました。

 ほかにも、電子制御式3速ATの搭載や世界初の液晶式デジタルメーターを採用するなど、技術的にも意欲作でした。

 その後、マイナーチェンジでターボエンジンは1.8リッターに排気量アップされ、4WDモデルを追加するなど、より魅力的なモデルとなりましたが、1987年に一代限りで生産を終了しました。

※ ※ ※

 今回紹介した3車種はどれもセダンをベースとしたモデルで、セダンの減少もクーペに大きく影響しているといえるでしょう。

 また、この3車種とも意外と実用的で、たとえば4代目サニー クーペではリアシートを倒すとフラットで広大な荷室となり、カローラ クーペのリアシートも大人2人を許容する広さでした。

 しかし、4ドア車を経験してしまうと、2ドア車の利便性が劣ると感じてしまうのは当然のことで、安価なクーペは次第に衰退していきました。

【画像】庶民的だけどスタイリッシュ! 昭和の3ドアハッチバッククーペを見る(20枚)

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