2台で挑む! 「GR86 & SUBARU BRZ」のカーボンニュートラルの道! スーパー耐久に向けたテストはどうだった?

午後になると両社の動きに差が出てきた? シェイクダウンの行方はどうなる?

 午後のテスト走行は、スバルは午前中のドタバタは何だったの……と思うくらい順調な走行でした。

 ロングランや全負荷走行をはじめとするテストメニューを全てこなした上で、スーパー耐久の公式テスト(2月23日)に向けた仕込みも行う余裕もあったと言います。

 さらにエンジニアにも変化を感じ、各人の動きに無駄がなくなり、チームとしての一体感が増したように感じました。

車両開発はスバルドライビングアカデミーを中心にスバル技術本部が参加して進められている

 本井氏にテスト終了後に話を聞くと、嬉しそうに答えてくれました。

「午前中は想定外のトラブル対応に時間を取られましたが、午後の走行は充実したテストができました。

 ドライバーのフィードバックでマシンの状態は良くなった上に改善の方向も見えてきたので、『何をするか』が明確になりました。

 メンバーの進化は、午前中のトラブルが功を奏して、業務の分担・役割が明確になった結果です」

 ドライバーの1人である井口卓人選手は、感触は良かったようで次のようにコメントしています。

「結果的に言うと、短時間で大きな進化がありました。

 走り出しは心配がないと言えば嘘になりますが、原因が見つかって以降は全く問題なく走れました。

 まだ探り探りの部分はありますが、コミュニケーションを取りながら進めていけばいいチームになると思います。様々な部分で伸び代を感じたテストになったと思います」

さまざまな項目毎にテストを重ねていく「GR86」 耐久レースということもあり、入念な確認がおこなわれた

 一方、GRは午後も途中まで順調にテストを行なっていましたが、トランスミッショントラブルでピットイン。

 修復を試みたものの、その場での修復はできないと言う判断でテストは終了。

 ただ、今回確認しておきたかった超高負荷走行や強度確認などはこなすことができたそうです。

 藤原氏にテスト後に話を聞くと、ちょっと悔しそうに答えてくれました。

「やはり『甘くない』ですね。シェイクダウンから驚くほど順調で、クルマのフィーリングを含めて評価が高かったのですが、なぜか直前(公式テスト)に課題が出てしまいます。

 ただ、原因は推定できているので、どう対策するかですね。公式テストで『鍛えてくれ!』と言う準備はできたと思っていますが、まだまだクルマとしてもスポーツカーとしても成熟できていないので、それ以外の部分もレベルアップさせますよ」

 GR86のドライバーの1人である蒲生尚弥選手はシェイクダウンの感想を次のように述べています。

「乗り味は市販のGR86とは結構違いますが、クルマが持つパッケージとしては悪くないと思いました。

 かつて、ニュル24時間のマシンのシェイクダウンでは走る事さえままならない事もありましたが、今回は全く違和感なく走ることができました。

 ミッショントラブルであまり走ることはできませんでしたが、原因が解っているので問題ないです」

※ ※ ※

 このようにGR/スバル共に今回の合同テストで「得た事」と「課題」は多かったようです。

 その後、短時間でフィードバックと本番用のカラーリングを施し、2月23日のスーパー耐久公式テストへと挑みます。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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