トヨタの商用バン「プロボックス」はスポーツカーと同じ方向性だった!? 高速道路を“最速”で走れる訳
営業車向けのアイデア装備が満載! 営業マンからの評価は?
実際にプロボックスに乗っている人は、どんな印象を持っているのでしょうか。
都内の印刷会社で社用車としてプロボックスを普段使用している営業のMさん(30代・男性)に話を聞いてみました。
「社用車なのでさまざまな人間が運転するのですが、乗りにくいとか不満は聞いたことがないです。それぐらいタフな作りになっています。
実際、リアシートは長時間乗るにはクッションが薄いのですが、それ以外は非常に良くできた作りになっています」

Mさんが感心するところは、それまでの商用車にはなかった小物入れやテーブルなどをセンターコンソール付近に標準装備していることだといいます。
たとえばセンターコンソールにはノートパソコンなどが置ける引き出し式テーブルが備わっていたり、大きな書類も収納できるグローブボックス、またハンドルの左奥にはスマートフォンを挟めるホルダーが設置されているなど、営業車として使えるアイデア装備が充実しています。
「ナビも付かずオーディオもラジオのみというシンプルな設定ですが、スマホのアプリで代用できますし、もともとは営業や納品業務で使用するのが主要用途なので普通にラジオが聴けるだけでも十分です。
マニュアル式ながらエアコンも付いており、むしろ無駄な装飾がないぶん操作で迷うことがないのは良いです」(営業のMさん)
実際にバンとしての積載性も非常に出来がよく、大量の納品物はリアシートを折り畳めばかなりの荷物を積載可能。
ちなみにトヨタのウェブサイトによると、2名乗車時の最大積載量は400kg。A4のコピー用紙箱(22cm×31cm×24.5cm)なら最大で89個も積載することができるといいます。
「タイヤは今どき珍しい165/80R13(現行モデルは155/80R14)という可愛いものですが、扁平率が高いので、道路のデコボコを乗り越えても不快は感じにくいです。荷物を積んでも潰れるような感じはありません。
遮音材が少ないのか、エンジン音は車内に入ってきますが、我慢できないということはないです」(営業のMさん)
では、なぜ高速道路をハイスピードで巡航するプロボックスが多いのでしょうか。あくまでもMさん個人の感想ですが、「運転していて楽しい」というところにありそうです。
「会社から遠方のお客さまへ納品などをした帰りは空荷になります。すると、行きと同じペースで走っているつもりが、気がつくとけっこうなペースで走ってしまうということがあるんです。もちろん法定速度内の話ですが」(営業のMさん)
軽量かつ堅牢なボディや強度の高いサスペンションのおかげで、いわゆるシャキッとした走りを味わえるようです。しかもフロントはディスクながらリアはドラム式ブレーキでも、軽い車重の恩恵で制動力不足を感じることもないとMさんはいいます。
この軽量であることのメリットは大きいでしょう。「走る、曲がる、止まる」は軽量なほどスムーズです。80馬力程度しかない1.5リッターエンジンでも、軽量なボディのおかげで動力性能も良いのでしょう。
「追い越し車線を急いで走っているということではないのですが、営業時間内に戻ってきたい心理がアクセルを踏んでしまうのかもしれません。
乗り心地が良いとはいえないのでデートやプライベートには向かないと思いますが、アウトドアが趣味で荷物をたくさん積み込みたい人には、個人ユースでも十分に満足できると思います」(営業のMさん)
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現在、プロボックスにはハイブリッドモデルもラインナップされており、WLTCモード燃費は22.6km/Lという低燃費を実現しました。
また、ガソリン車のエントリーモデルの149万1000円から、ハイブリッド車の201万4000円という価格帯も非常に経済的です。
プロボックスは、頑丈で軽量なボディや実用域を考慮したセッティング、さらに5ナンバーに収まるサイズによる狭い道での取り回しの良さも大きなメリットで、「道具」としての使い勝手に優れたモデルだといえます。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。































