イカツい顔でスタイリッシュなのがステキ! 昭和の時代に登場したスペシャリティカー3選
クルマにはミニバンやSUV、コンパクトカーといったジャンルに分類されますが、最近あまり耳にすることがなくなってしまったのが「スペシャリティカー」で、昭和の時代には隆盛を極めていました。そこで、往年のスペシャリティカーを、3車種ピックアップして紹介します。
昭和の時代に隆盛を極めたスペシャリティカーを振り返る
クルマにはさまざまな種類がありますが、セダンやステーションワゴンなどのボディ形状、車体の大きさによって分かれるセグメント、そして、SUVやミニバン、コンパクトカーといったジャンルが存在します。
このジャンルのなかで最近耳にしなくなったのが「スペシャリティカー」で、スタイリッシュな2ドアクーペのボディに、生粋のスポーツカーほどではないものの十分な性能を有するエンジンというのがスペシャリティカーの必須条件ではないでしょうか。
しかし、近年は2ドアクーペそのものが減少してしまったので、スペシャリティカーというジャンルも過去のものとなってしましました。
一方で、1970年代から1980年代はスペシャリティカーが隆盛を極めていた時代で、各メーカーから数多くラインナップされていました。
そこで、昭和の時代に登場した懐かしのスペシャリティカーを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「S110型 シルビア/ガゼール」
日本の元祖スペシャリティカーといえば、1965年に発売された日産初代「シルビア」です。まだ庶民にとってマイカーが高嶺の花だった時代に、超高級クーペとして誕生しました。
その後初代シルビアは1968年に生産を終え、7年の空白期間がありましたが1975年に2代目が登場。価格を抑えた量産スペシャリティカーへと変貌を遂げ、1979年には高性能化も果たした3代目(S110型)がデビューしました。
3代目シルビアは2ドアハードトップクーペと3ドアハッチバッククーペの2タイプのボディで、姉妹車の「ガゼール」も加わりました。
フロントフェイスは角型4灯式ヘッドライトの精悍なデザインを採用し、ハードトップ、ハッチバックのどちらもエッジの効いたシャープなスタイリングです。
内装は加飾を抑えた比較的シックな印象ですが、コクピットには6つのメーターを配置し、スポーティなモデルであることを強調していました。
一方で、ラリーコンピュータに近い機能を持つ日本初のドライブコンピューターを装備するなど、新しい時代の到来も感じさせました。
発売当初は1.8リッターと2リッター直列4気筒SOHC自然吸気エンジンを搭載し、スペック的には平凡でしたが、1981年に最高出力135馬力(グロス、以下同様)を発揮する1.8リッター直列4気筒SOHCターボエンジン車を追加しました。
さらに1982年には、最高出力150馬力の2リッター直列4気筒DOHC16バルブ「FJ20E型」エンジンを搭載した「RS」グレードが登場。
シルビアは3代目によってスペシャリティカーというだけでなく、後に続く高性能FRスポーツカーというイメージを確立しました。
●三菱「ギャランΛ」
かつて三菱のミドルクラスセダンとして主力車種だったのが「ギャラン」です。1969年に初代が誕生し、スタイリッシュなセダン、クーペとして大ヒットを記録。
その後、1976年に車名を「ギャランΣ(シグマ)」へ改めた3代目が登場し、ボディはセダンとバンのみとなりました。
このギャランΣよりも少し遅れてスペシャリティカーの派生車として「ギャランΛ(ラムダ)」が発売されました。
ボディは2ドアクーペのみで、外観は角型4灯式ヘッドライトを配置したシャープなフロントフェイスを採用。
直線基調で伸びやかなフォルムのピラーレスハードトップで、斜めにレイアウトされた幅広のCピラーと、サイドに回り込むリアの「ラップアラウンド・ウインドウ」が、ギャランΛの個性的なデザインの特徴となっていました。
内装ではソファーのような本革シート仕様がオプション設定され、フロアカーペットは毛足の長いシャギーで、さらにステアリングホイールもフランス車を彷彿とさせる1本スポークを採用するなど、ゴージャスかつアバンギャルドな意匠でした。
エンジンはデビュー当初2リッター直列4気筒SOHCのみで、ツインキャブ仕様は最高出力115馬力を発揮。後に1.6リッターが加わり、1979年には最高出力120馬力の2.6リッターエンジン車が加わったことで、よりスペシャリティカーとしてのイメージが強化されました。
その後1980年に初代のデザインをキャリーオーバーした2代目が登場しましたが、1984年に生産を終え、三菱のスペシャリティカーは1982年に誕生した「スタリオン」に受け継がれました。
●マツダ「コスモAP」
マツダは1967年に、世界初の量産ロータリーエンジン搭載車の「コスモスポーツ」を発売。当時としてはかなり斬新なデザインの2シータースポーツカーでした。
その後、マツダはロータリーエンジ車の拡充を開始し、さまざまなセグメント、ジャンルのモデルにロータリーエンジンを搭載するフルラインナップ化を進めるなか、1975年にコスモスポーツの名を継承した「コスモAP」がデビューしました。
コスモスポーツのスポーツカーのイメージから一転して、コスモAPはラグジュアリーなスペシャリティカーに変貌を遂げ、ボディは当初2ドアファストバックのみでしたが、1977年に2ドアノッチバックの「コスモL」が追加されました。
初期型のコスモAPのフロントフェイスは、丸型4灯式ヘッドライトに縦ラインのラジエーターグリルを組み合わせて重厚感を演出し、一方、全体のフォルムは伸びやかで流麗なスタイリングとし、リアサイドのセンターウインドウがデザインのアクセントとなっていました。
エンジンはトップグレードに654cc×2ローターロータリー「13B型」を搭載し、ほかにも573cc×2の「12A型」ロータリー、レシプロエンジン車には2リッターと1.8リッター直列4気筒を搭載していました。
ちなみに車名の「AP」とは、昭和51年排出ガス規制をクリアしていたことから「アンチ・ポリューション=公害対策」に由来しています。
コスモAPは高級車であったにもかかわらず、発売して半年弱で累計販売台数が2万台を超えるヒット作となり、1981年にユニークな角目4灯のリトラクタブルヘッドライトを採用した3代目へモデルチェンジ。
そして、1990年には世界初の3ローター・ロータリーターボエンジンを搭載した伝説のモデル、ユーノス「コスモ」が登場し、マツダを代表するスペシャリティカーの系譜を受け継ぎました。
※ ※ ※
前述のとおりスペシャリティカーという言葉を聞かなくなりましたが、ほかにも「ハイソカー」や「RV」「デートカー」など、かつて一世を風靡したクルマを指す言葉も使われなくなりました。
これらは一過性のブームになったクルマばかりで、ブームの沈静化とともに言葉も忘れ去られたのでしょう。
もしかしたら、今やブームとなっているSUVも、将来的には耳にすることがなくなってしまうかもしれません。
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