ハードにチューニングされていたけど普段使いもイケる! 実用的な高性能コンプリートカー3選

既存のクルマをベースに性能を向上させたチューニングカーは、もともとはショップが手掛けるものでしたが、近年は自動車メーカーやメーカーの関連会社も参入しています。そこで、かつてメーカー系が製作したチューニングカーのなかでも普段使いもいけそうなモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

普段使いできそうなワークスチューンのコンプリートカーを振り返る

 既存のクルマを自分好みに仕立てるチューニングは、効果が体感できると抜け出せなくなるほどハマってしまう人も多いのではないでしょうか。

高度にチューニングされたモデルながら普段使いにも適したコンプリートカーたち
高度にチューニングされたモデルながら普段使いにも適したコンプリートカーたち

 チューニングカーというと昔はアウトローなイメージがありましたが、業界団体の啓蒙活動やしっかり合法の範囲でおこなわれるようになったことから、市民権が得られました。

 そのため、今では自動車メーカーやメーカーの関連会社もチューニングカー市場に参入しており、高品質のコンプリートカーやチューニングパーツを販売しています。

 また、メーカー系のチューニングカーでも控えめなモデルばかりでなく、ハードにチューニング、カスタマイズされたモデルも存在しました。

 そこで、ハードにチューニングされつつも実用的にも申し分ないレベルのコンプリートカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「マーチボレロ A30」

超絶ワイドボディに変身してメカチューンのエンジンを搭載した「マーチボレロ A30」

 日産のラインナップのなかで登録車のエントリーモデルとして長い歴史がある「マーチ」には、かつて「スーパーターボ」という今では伝説的な高性能モデルがありました。

 現行モデルの4代目では「マーチ NISMO/NISMO S」というコンプリートカーがありますが、2016年9月に限定30台で発売された「マーチボレロ A30」は、とんでもなく大胆に手が入れられていました。

 マーチボレロ A30は、オーテックジャパンの創立30周年を記念して企画・開発されたモデルで、車名のとおりベースとなったのはクラシカルな外観のマーチボレロです。

 90mm拡大されたトレッドにあわせて、ボディは大きく張り出した前後フェンダーを採用。全幅はベース車の1665mmに対して1810mmと145mm拡幅されており、迫力あるフォルムを実現しました。

 内装もレカロ製スポーツシート、専用の小径レザーハンドル、240km/hスケールのスピードメーターを装備するなど、スポーツ走行に対応する機能的なアイテムをチョイス。

 エンジンは「ノート NISMO S」に搭載されていた1.6リッター直列4気筒の「HR16DE型」をベースに、専用のクランクシャフト、コンロッド、カムシャフトなどを組み込み、さらに手加工によるポート研磨が施されるなどのメカチューンによって最高出力150馬力を発揮し、トランスミッションは5速MTのみとなっていました。

 シャシは各部を補強するブレースを追加して剛性アップが図られ、専用の強化サスペンション、フロントブレーキの大径化とリアブレーキをディスク化するなど、ハンドリングとコーナリング性能の向上が図られました。

 一方、後席の居住性や荷物の積載性はマーチのままで、これほどまで手が入れられていても実用性はスポイルされていませんでした。

 なお、マーチボレロ A30の新車価格は356万4000円(消費税8%込)と、ベース車2倍以上という高額な設定でしたが、限定30台はすぐに完売しました。

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●スバル「S402」

エンジンからシャシ、ボディに至るまでバランスを重視したチューニングの「S402」

 1984年4月に設立されたスバルテクニカインターナショナル(以下、STI)は、スバルのモータースポーツ活動のサポートからスタートし、WRC参戦車両の開発と平行して市販車の高性能化にも取り組みチューニングパーツの販売や、高性能グレードの「STIバージョン」が誕生しました。

 そして1998年にはSTI初のコンプリートカーで、今や伝説的なモデルとなった「インプレッサ 22B STiバージョン」が発売されると、その後も次々とコンプリートカーを輩出。

 そのなかの1台が、2008年に登場した「S402」です。

 S402のベースとなったのは4代目「レガシィB4/ツーリングワゴン」(BL型/BP型)で「究極のグランドツーリングカー」をコンセプトに開発されました。

 エンジンは海外仕様のレガシィに搭載された2.5リッター水平対向4気筒ターボをベースに、専用のツインスクロールターボ、ECU、排気システムを採用し、最高出力は285馬力までチューニング。組み合わされたトランスミッションは6速MTのみです。

 ボディは派手さが抑えられていましたが、ドライカーボン製フロントアンダースポイラーやBBS製鍛造18インチホイール、左右4本出しエキゾーストなどに加え、左右20mm拡幅したフロントフェンダーにエアアウトレットを設置するなど、スポーティかつ迫力ある外観を演出。

 シャシまわりでは、ビルシュタイン製ダンパー、ピロボール式のリアサスペンションリンク、フレキシブルタワーバー、ブレンボ製フロント対向6ポットキャリパー/リア対向2ポットキャリパー、さらにクイックレシオのステアリングギアボックスを採用するなど、それまでに培ったSTIのノウハウを生かしバランスを重視したチューニングが施されていました。

 S402はセダンとワゴンを合せて限定402台で発売され、価格(消費税5%込)はセダンが535万5000円、ワゴンが549万1500円と、高額ながら即完売しました。

●トヨタ「マークX“GRMN”」

「コロナマークII」から続く長い歴史の有終の美を飾るコンプリートカーだった「マークX“GRMN”」

 近年、人気の低迷から各メーカーともセダンラインナップが減少してしまいましたが、今では貴重なスポーティFRセダンとして販売されていたトヨタ「マークX」も2019年12月に生産を終了しています。

 2004年にデビューした初代マークXは、長年にわたってヒットを続けていた「マークII」の後継車にあたり、フォーマルな印象の外観と基本性能が高さから一定の人気を集めました。

 その後、2009年には初代からキープコンセプトとした2代目が登場。そして、2015年に2代目マークXをベースとしたハイパフォーマンスなコンプリートカー「マークX“GRMN”」が100台限定で発売され、さらに2019年3月には第2弾として350台が販売されました。

 車名の“GRMN”は、トヨタのモータースポーツ活動を支えるTOYOTA Gazoo Racingが開発したコンプリートカーのなかでも、最高峰のチューニングモデルのみに与えられる称号で、直近では2022年1月に「GRMNヤリス」が発表され話題となりました。

 マークX“GRMN”に搭載されたエンジンはベースの「マークX 350RDS」と同じ3.5リッターV型6気筒自然吸気で最高出力318馬力を発揮。エンジンは出力特性が変更されるにとどまるライトチューンですが、組み合わされるトランスミッションはマークX“GRMN”専用に6速MTが与えられました。

 シャシは252か所のスポット溶接打点追加によって剛性アップが図られ、足まわりには新開発のダンパーを装着。パワーステアリングのアシスト特性を最適化するなど、マークXの素性の良さを高めるチューニングとなっていました。

 また、外装のエアロパーツは控えめですが専用の前後バンパーに、4本出しマフラー、19インチ鍛造ホイールが装着されるなど、迫力ある外観を演出。

 内装も専用スポーツシートを搭載し、インパネやセンターコンソールにカーボン調パーツを使い、ブラックに統一したカラーコーディネートによって、シックながらスポーツマインドあふれるコクピットに仕立てられていました。

 前述のとおり2019年12月をもってマークXは生産を終了したため、マークX“GRMN”はコロナマークIIから続いた50年以上の歴史の有終の美を飾るモデルでした。

※ ※ ※

 本文中に登場したGRMNヤリスは、今回紹介した3台とは大きく異なり、2シーター化されるなど実用性をまったく考慮していないコンプリートカーです。

 GRMNブランドのコンプリートカーはユニークなモデルが多く、欧州の「ヴィッツ」3ドアボディをベースに、最高出力212馬力を誇る1.8リッタースーパーチャージャーエンジンを搭載した「ヴィッツ GRMN」や、マイクロカーの「iQ」にスーパーチャージャーを装着した「iQ GRMN スーパーチャージャー」など、ベース車もバラエティに富んでいます。

 こうしたモデルは比較的価格も高額ですが、さすがにメーカー系のチューニングカーだけあって品質も高く、安心して乗れるのは大いに魅力的です。

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