東京民はなぜ「冬タイヤ」未装着多い? 「雪国マウント」も相次ぐ! 大雪でも装着率低い都市部の事情とは
東京は本当に「大混乱」だった?
ただ、東京のユーザーがスタッドレスタイヤを装着しない背景には、さまざまな事情があるようです。
まず、そもそも東京は積雪することが少ないという点が挙げられます。
気象庁が集計した過去30年のデータを見ると、1cm未満の積雪は1年に1回程度、3cm未満は2年に1回程度。
5cm未満は3年に1回程度、10cm未満は10年に1回程度という割合です。
また、東京は全国的に見てもっとも自家用車通勤が少ない地域であり、2010年時点の国勢調査の結果によると、東京で自家用車通勤をしているのはわずか9.6%となっています。
つまり、日常的にクルマを使用しているユーザーが少なく、雪が積もることも年に1回となると、少なくとも数万円は必要なスタッドレスタイヤを購入するメリットを感じにくいというのが実際のところなのかもしれません。
さらにいえば、土地の限られている東京では、タイヤの保管場所にも苦労する点も、スタッドレスタイヤの購入を敬遠する要素となっていると見られます。
また、実際にはそれほど多くの交通事故は発生していないという見方もできます。
警視庁の発表によると、2021年1月には2095件の交通事故が発生したとされ、1日あたりの平均値は約68件となります。
前述のとおり、1月6日から7日にかけての交通人身事故が少なくとも70件であることから、交通人身事故の件数自体は爆発的に増えているともいい難いといえます。
「東京が大雪で大混乱」という各マスメディアの報道から、東京のユーザーの多くが積雪路面や凍結路面でもノーマルタイヤで走行しているような印象を受けたかもしれません。
しかし、これらのデータを見る限り、東京のユーザーの多くは交通事故の危険を事前に察知し、スタッドレスタイヤを装着するか、あるいはクルマの利用を避けていたと推測されます。
もちろん、雪に起因する人身事故が起きていることは事実なうえ、物損事故も含めればさらに多くの事故が発生していると考えられるため、大雪の影響は少なからずあったといえます。
クルマ以外の交通手段が豊富な東京では、雪が降った際には別の交通手段に切り替えるという選択肢があります。
また、リモートワークが浸透しつつある昨今では、そもそも出社をしないという選択肢もあるかもしれません。
もちろん、スタッドレスタイヤを装着しておくことがベストですが、臨機応変な対応で危険を回避できるのも東京ならではといえそうです。
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数年に1度レベルという10cmの積雪で「大混乱」したとされる東京ですが、実際のところ、翌日には都内の主要幹線道路の多くは積雪が解消されたほか、鉄道などの公共交通機関もほぼ通常稼働となりました。
そういった意味では、東京は決して雪に弱くはないといえそうですが、首都機能を損なうことなくいられたその背景には、夜通し道路や線路の整備をおこなった人達がいたことを忘れてはいけません。