知らないけれど使ってる!? クルマの優れた裏方「モービルアイ」の技術は何がスゴいのか?

モービルアイの強みは「REM」にあり

 ADASや自動運転に関する画像認識技術については、インテル/モービルアイのほかに、日本メーカーだとトヨタ系のデンソー、またスバルは次世代「アイサイト」(ADAS)で米オンセミコンダクターとスウェーデンのヴィオニアと協業を始めています。

 欧州もコンチネンタル、ボッシュ、バレオなどの自動車部品大手が、ADAS関連で量産体制を敷いている状況です。

モービルアイの最新チップ「EyeQ ULTRA」のイメージ(画像:モービルアイ)
モービルアイの最新チップ「EyeQ ULTRA」のイメージ(画像:モービルアイ)

 このようにADASまわりの技術競争は熱を帯びてきていますが、インテル/モービルアイとしては、REM(レム:ロード・エクスペリエンス・マネージメント)と呼ばれるテクノロジーが強みといえるでしょう。

 REMは、画像認識用のカメラから得たデータをクルマからクラウドへ転送し、解析ののち短時間でデジタル地図情報を作成するというものです。

 モービルアイによると、信号機、横断歩道、車線などの位置情報だけでなく、それらの関係性についても独自のアルゴリズムによって解析するといいます。

 一般的には、ハンズフリーや自動運転で走行する際、専用の測定車両を事前に走らせて高精度三次元地図(3Dマップ)を生成する必要があります。しかしこの方法だと、地図生成後に道路状況が変われれば、また測定をする必要が生じます。

 一方、REMは道路状況の変化を把握しやすく、しかも高精度三次元地図に比べて自動車メーカー側が負担するトータルコストが安く抑えられる可能性があるといいます。

 REMはグローバルで拡大するEyeQシリーズにひも付く技術だからこそ可能になるインテル/モービルアイならではの発想です。

 CES 2022の発表でも、フォードがREMを採用した高度なレベル2(レベル2+)でのハンズフリーADASを複数モデルに展開することを明らかにしています。

 その他、すでにインテル/モービルアイの画像認識技術を採用している日系自動車メーカーの技術関係者が「REMの採用も視野に次世代ADASの開発を考えている」と漏らしています。

 このところ自動車産業界は、トヨタ、テスラ、アップル、そしてソニーなどのEVシフトが大きく取り上げられている印象ですが、その水面下では、ADASや自動運転もさらなる技術進化が進んでいるのです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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