さよなら!ホンダ「オデッセイ」最終型は“普通のミニバン“に!? ブームの先駆者がたどった運命とは
新型「ステップワゴン」がオデッセイの穴埋めをしてくれる!?
2013年に登場した5代目は、「歴代モデルで高い評価を受けてきた走りの良さとミニバンとしての利便性をバランス良く両立させるモデルへと変貌した」というと聞こえはいいですが、フラッグシップミニバン「エリシオン」との統合もあり、全高150mmアップ&スライドドア採用で、結果として“普通”のミニバンになってしまいました。
そして今回、改めて2020年に大幅改良を受けたモデルに試乗してみました。試乗車は2モーターのハイブリッドシステム(e:HEV)を搭載したアブソルートです。
5代目オデッセイの外観は、初期モデルでは力強さとスマートさがバランスされたデザインが採用されていましたが、世の中的には押しが弱かったようです。
そのため大幅改良でフロントグリルが大型化され煌びやかになりましたが、個人的には独自性が薄れてしまったなと感じました。
先代よりも全高が高くなったとはいえ、室内はライバルよりも低い1685mm。しかし、ホンダお得意の低床低重心パッケージの採用により、ゆとりの頭上空間に加えてステップ高約30cmと優れた乗降性を実現しています
ちなみに、2列目シートはオットマンや中折れ機能が付いた「プレミアムクレードルシート」で、ロングスライドとウォークスルーを両立させる優れ物。大型ヘッドレストやスマホやペットボトルなどが収納可能な小物入れも設置されています。
3列目シートは大人3人が肩を触れ合うことなく座れるサイズを用意。軽い力で床下収納も可能で、3列目シートを使わないときはラゲッジスペースとして有効活用できます。
では、オデッセイの走りはどうでしょうか。
初期モデルは確かに背の高さを感じさせない走りは実感できたものの、乗り心地はかなり厳しい印象でした。
最新モデルは何度かの改良で乗り心地に関しては納得できるレベルになりましたが、逆にハンドリングは良くいえば「穏やか」、悪くいえば「キレがなくなった」印象です。
確かに同クラスのライバルと比べると走りの面で優れている部分は感じられるものの、あくまでも「ミニバンとしては」という条件が付くレベルです。
歴代モデルの志の高さ(=セダンに負けない走り)と比べてしまうと、個人的には少々寂しいと感じてしまいました。
パワートレインはモーターの特性を活かし、巨体を感じさせない応答性の高さや力強さは実感できますが、アクセルをグッと踏み込んだ際にエンジン回転と車速の伸びにギャップを感じるのは最新のe:HEVモデルたちとは違う部分です。
静粛性も通常走行ではエンジン始動に気が付かないレベルに抑えられていますが、その一方でロードノイズや風切り音が気になるなど基本設計の古さは否めません。
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今回は少々厳しい評価になってしまいましたが、オデッセイの歴史を振り返ると「起承転結」という言葉が浮かびます。
初代は「無い物を作る(起)」、2代目は「熟成(承)」、3代目と4代目は「大胆なコンセプトチェンジ(転)」、そして5代目は「普通のミニバンになりたかった(結)」ということでしょう。
本来ならば「次期オデッセイに期待」といいたいところなのですが、残念ながら現時点ではその辺りに関しては不透明です。
同じくホンダのミニバンである「ステップワゴン」がフルモデルチェンジし、2022年春に発売される予定ですが、ある関係者は「新型ステップワゴンはオデッセイが不要なくらい良くできている」と語っています。
5代目の累計販売台数は15万台以上ですが、これらのオデッセイオーナーにはこのような理由で納得してもらえるのでしょうか。
ホンダの4輪ビジネス再建のためにさらなる合理化が必要なのはよくわかります。ただ、その一方でユーザーに寄り添うこと、ユーザーを裏切らないことも忘れないで欲しいです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
5代目で3代目、4代目に乗ってるオーナーが「タワーパーキング対応でなくなくなって
物理的に駐車不可になって買い替えの候補から外された」というのは大きな致命傷だった
初代、2代目のオーナーなど高さを気にしない客は既にステップワゴンや他社ミニバンに持ってかれてた
背が低いミニバンが不人気と言う話は若干間違いで
「スライドドアが持ち上げられてる」のが実態だから
トヨタ・ラウムみたいに背は伸ばさずタワーパーキング対応のままスライドドアにするべきだった
当時流行りのワゴンがなく
アコードのプラットホームに
ホンダの製造ラインの最大サイズが
初代オデッセイとなった